中共ウイルス(新型コロナウイルス)の影響を受け、中国の自動車メーカー4大手の経済的な打撃が鮮明になってきた。上海汽車集団(上汽集団)は、傘下の多数の子会社の従業員の賃金引き下げや給与支給の延期を発表した。湖北省に多数の生産ラインを敷く東風汽車集団(東風集団)は、当局の封鎖措置により従業員の復帰がままならない状態だ。
日本と同様に、自動車市場は中国で最大の経済市場であり、今後の中国経済を観測する指標となる。
上汽集団の子会社である上汽大通は3月5日、初の賃金交渉を行ったと発表した。同日午後、別の子会社が従業員に給与の調整を非書面で通知した。同社は従業員の3~6月期の給与を75~100%減額する。
上汽集団傘下の部品会社・上海匯人も、従業員と外部委託会社の従業員の給与20%前後を減額する。
東風集団は、湖北省に東風汽車、神龍汽車、東風ルノー、東風ホンダ、東風日産など多数の子会社を抱えている。生産再開の要請とともに、人手不足や、中共ウイルスを防護するための物資の不足に直面している。
上海にあるビジネスコンサル企業・プレシジョンの自動車業界アナリスト陸帥氏によると、中国の自動車業界は新型肺炎の流行の影響を受け、生産量と販売量が減少し、企業が給与を調整するのはやむを得ない選択となった。
中国人力資源・社会保障部は2月末の記者会見で「企業と従業員の『同舟共済』を推し、企業と従業員が協議を通じて給料の調整、労働時間の短縮、輪番休業を指導する」と述べた。
しかし専門家は、人員削減は根本的な問題を解決できないとみている。例えば、自動車4大企業である一汽、東風、上汽、長安の現在の再稼働率は37%にとどまっており、自動車業界は完成車や部品在庫を消化できず、期日通りの新車販売が困難だという事態に直面している。また、多くの販売店舗が再稼働しても、顧客は少ないとみられる。
上汽のほか、上海の電気自動車メーカー・威馬(Weltmeister Motor Technology)も3月5日、従業員全員に賞与の取り消しを通知した。また、従業員の自動車購入補助金などの福利厚生も、6月以降に延期した。
政府の乗用車市場情報連絡会は3月4日、2月の中国大陸部乗用車市場の販売台数が前年同月比80%減、1月と2月の累計販売台数は同比41%減と、いずれもここ20年で最大の落ち込みとなった。
第一汽車傘下の自動車メーカー・海馬は2月の販売台数が前年同月比93%減となり、販売ゼロを記録した。
電気自動車大手のBYD(比亞迪)は2月の自動車販売台数が前年同月比80%減となり、1月と2月の累計販売台数は、同比57%減となった。
その他の主要自動車メーカーのうち、バス製造大手の金龍の2月の生産台数は前年同月比38%減、売上高は同比61%減少した。江鈴汽車の2月の生産台数は前年同月比57%減、売上高は同比65%減だった。宇通客車の2月の中小型車の生産台数は前年同月比67%減、販売台数は同比64%減となった。
(張玉潔/翻訳編集・佐渡道世)