顔認証技術がもてはやされているなか、中国では顔データの闇ビジネスが現れた。中国メディアは、顔写真などのデータを不法に販売していると報道した。
中国紙・新京報11月19日付によると、中国のIT関係者用の掲示板やネット通販サイトなどで、大量の顔写真が無料、または有料で提供されている。有料の場合、提供者は10元(約154円)から20元(約309円)の値段で販売している。なかには、「60人で1人に付き500枚の計3万枚の顔写真」がたったの8元(約123円)で売られている。一部の販売者は、「国籍、人種、性別、年齢を問わず顔写真を幅広く扱っている。顧客の要望に応じて特定のシーンでの顔写真が作成できる」と紹介。
報道によると、写真の出どころについて「(ソーシャルメディアの)友達グループから入手したが、相手の同意は得ていない」と明かした販売者がいた。
また、中国中央テレビ(CCTV)財経チャンネルの11月29日の報道によると、フリマサイトの「転転」では、5000枚以上の顔写真が10元で販売されている。CCTVの記者が販売者に尋ねた結果、写真を撮られた本人から「肖像権の承認を得ていない」という。同記者は記事で、「あなたの顔データは今、安売りされているかもしれない」と、市民のプライバシー漏えいに警鐘を鳴らした。
新京報は、「中国では、顔認証データを販売し不法に利益を貪る闇ビジネスはすでに生まれた」と指摘。
英市場動向調査会社IHSマークイットが発表した最新報告書では、2021年までに世界各国で計10億台以上の監視カメラが設置されるという。中国は全体の半分以上を占める。
中国当局は、犯罪を抑制するために、顔認証や他の生体認証技術と監視カメラシステムなどの先端技術を駆使しているのではなく、反体制や民主化運動を封じ込める「社会の治安維持」を行うためである。
(翻訳編集・張哲)
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