カナダ政府、中国出身の著名なウイルス学研究者を拘束

2019/07/17
更新: 2019/07/17

カナダのマニトバ州ウィニペグ市警察当局は5日、同市にある国立微生物研究所(NML)に勤務する中国出身の女性研究者らを、関連ポリシー違反(policy breach)の疑いで逮捕した。スパイ行為を働いたとの見方が出ている。

カナダメディアのCBCニュース14日付によると、逮捕されたのはウイルス学者の邱香果(Xiangguo Qiu)氏と夫、中国人留学生数人。関係者によると、当局は数カ月前に邱氏の使用しているパソコンを調べ始めた。6月8日、NML側は全職員に対して、邱氏夫婦が短期間、NMLを離れると通知し、夫婦らに連絡をしないよう求めた。邱氏は中国への一時帰国をキャンセルした。

今年5月24日、マニトバ州警察当局が同国の保健省からの通報を受けて、邱氏らに対して捜査を始めたという。

NMLは北米地域における最高レベルの感染症やウイルス学研究所の一つ。世界各地にバイオセーフティーレベル4を有する施設が15カ所あるが、NMLはそのうちの一つ。エボラウイルスなどヒトに対する感染力が強く、致死率の高い細菌、ウイルス、病原体などを取り扱っている。

邱香果氏は、国際的に名を知られているウイルス研究学者だ。1985年、中国の河北医科大学を卒業し、1996年にカナダへ留学した。2018年、同僚のゲイリー・コビンジャー(Gary Kobinger)博士と共に、エボラウイルスの治療薬、ZMappを開発したことで、カナダの「ザ・ガバナー・ジェネラルズ・イノベーション・アワーズ(GGIA)」を受賞した。邱氏の働きで、過去数年間に多くの中国人留学生が同氏のアシスタントを務めていた。

邱氏が客員教授を務めるマニトバ大学はCBCニュースに対して、すでに同氏に対して解雇処分を下したと明らかにした。

一方、同氏の逮捕を受けて、カナダを訪問中のイェンス・ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は15日に記者団に対して、中国を名指しはしなかったが、「一部の国がさまざまな方法で、NATO加盟国に諜報活動を行っている。同件は産業スパイ、またはNATO軍などの軍事情報を狙ったスパイ行為の可能性があるため、注視していく」と述べた。

邱氏がカナダに帰化しているのかは不明だ。

(翻訳編集・張哲)