スイスのメディア・日曜新聞(SonntagsZeitung)5月27日付によると、現地捜査当局は、同国のある技術系外資企業から、数百もの機密文書を盗んだ中国の産業スパイを摘発した。
同紙によると、被害に遭ったのは、スイスで子会社を運営するオランダ拠点の半導体後工程装置メーカーBesi。高度精密機械のための半導体後工程用装置を開発・製造しており、この分野では世界トップシェアの技術力がある。
被告側は、無名の複数の中国企業。シンガポールの2人の代理人を使ってBesiのスイス支店幹部に接近した。
報道によれば、この経済スパイは周到に計画されていた。共犯のBesiスイスのIT管理者は、中国企業代理人から3万5000スイスフラン(約380万円)の賄賂を受け取り、Besiの700以上の企業機密文書を複製し、小包でシンガポールに送った。
技術機密は主にBesiの「独自の商業機密、特許取得済み製造秘密の計画」に関するもので、最終的に、これらの文書は中国側に渡った。
裁判では、この管理者には連邦検察庁から有罪判決が言い渡され、3万5000スイスフランの罰金が命じられた。報道によれば、シンガポールの代理人2人は逃走した。
スイス司法省は現地メディアの取材に対して、この摘発と有罪判決は確かであるとしたが、被告や関連企業の名前の発表を避けた。
スイス連邦情報局は24日、国家の危機管理に関する年次報告書を発表した。報告書は、進行中の中国経済スパイの脅威について明記している。
報告によれば、2018年よりスパイ活動が急増しており、中国からのハッカー集団による危機が高まっている。2017年に施行された新情報機関法以降、調査された193件のうち、170件がスパイ活動で、残り23件はテロ関連。
新情報機関法によって、情報機関は行使できる監視活動の幅が増えた。例えば個人宅に盗聴器を設置したり、電話を盗聴したり、コンピューターをハッキングしたりすることが許可されている。
(編集・佐渡道世)
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