米中の女性キャスター、貿易戦争めぐってバトル 生討論会で勝負

2019/05/29
更新: 2019/05/29

米大手ケーブルテレビ局のFoxビジネス・ネットワークで冠番組を持つ女性司会者と、中国国営放送局の女性ニュース司会者が、5月29日に米中貿易論争について生放送の討論会を開く。

この討論は、中国国営中央テレビ(CCTV)海外版のCGTNの女性司会者が番組のなかで、Foxの女性司会者トリッシュ・レーガン(Trish Regan)氏を名指しして何度も「口撃」したことがきっかけだ。

5月14日、レーガン氏は自身の冠番組で、米国は知的財産権の窃盗を働く中国と貿易戦争を起こすしかないと述べた。同氏は、米国通商代表部による2017年の報告に基づき、中国による知的財産の窃盗被害は、年間2250億~6000億ドルに上ると語った。

CGTNの女性キャスター劉欣氏は、5月22日の放送番組内で、レーガン氏について「米国の損失が非常に確実だと確信していたので憤慨して、目から火を吹いた」と愚弄した。劉氏はさらにレーガン氏の発言は、「感情任せでほとんど根拠がない」と述べた。

CGTNは、レーガン氏が述べた6000億ドルの損失について、数字や盗難の定義に疑問を投げかけた。そして「もっと良い調査チームが必要ではないか」と付け加えた。

レーガン氏は翌23日の冠番組で、劉氏の「口撃」に返す形で、中国企業による盗難の具体的な被害例を挙げた。2018年、中国風力発電のタービンメーカー、華鋭風電科技集団(Sinovel Wind Group)は米国のエネルギー技術企業AMSCから企業秘密を盗み、8億ドル以上の損失をもたらしたとして、有罪判決を受けた。

さらに同年、米司法省は、中国共産党政権の諜報役を務めた2人の中国人を起訴した。2人は、米国の軍人、政府機関、民間企業から数百ギガバイトのデータを盗み出したとされる。2人は、少なくとも十数カ国で情報の窃盗をしていた。

「事実を述べているのみだ。中国は今回の批判対象を間違えてしまったようだ」

5月24日、レーガン氏は「生中継で私と真剣勝負をしてほしい」と討論会の設置を再び持ち掛けた。「貿易に関して正面から議論しましょう」と強調した。「あなたは私を『感情的』で事実を知らないと批判しましたが、間違っています。時間と場所を示してくれれば、私はそこに行きますよ」とSNSに書き込んだ。

劉欣氏は、中国国内では使用禁止のツイッターで、レーガン氏に返答し「中傷(mud throwing)」なしならば討論に応じるとした。

レーガン氏は27日、「心配しないでください。私は泥は投げない(sling mud)、真実を投げかける」とし、「意味ある討論になるでしょう」と自信を見せた。

公開討論はFox Businessで放映されるため、ニューヨーク時間、5月28日午後8時(日本時間29日午前9時)に設定されている。

(編集・佐渡道世)