そばかすモデルはアジア人侮辱? ZARAを「レイシスト」と指弾する中国ネットユーザー

2019/02/18
更新: 2019/02/18

ファストファッション大手ZARAの最新広告で起用された中国人モデルのそばかすが目立っているとして、ネットユーザーから「中国を侮辱した」と批判の声が上がっている。

スペイン発のZARAは2月15日、「美はここにある(Beauty is here)」と銘打って、世界トップ50モデルの一人である李静雯(リ・ジンウェン、25)さんが使用する新作商品の口紅を、ウェブでプロモーションした。薄化粧の李さんの顔にはそばかすが映っている。

広告が中国大手SNS新浪微博に掲載されると、ユーザーは直ちに「肌の汚いモデルを使い、アジアの女性が皆そうだと言いたいようだ」と、自然な美を表現しようとするZARAの広告を否定した。

モデルの李さんはこれまで、欧米大手ファッションブランドであるルイ・ヴィトン、マークジェイコブス、ミュウミュウなどのランウェイ経験のある一流モデル。

「信じられない。わざとアジア人の代表モデルにそばかすを強調している」「ZARAはアジア人女性の全員にそばかすがあるものだと思っているのか」「ZARAはアジア人に対する人種主義(レイシズム)を誘導している」など、ZARAの広告表現に不満を噴出させるコメントが最上位にあがり、多くのユーザーに支持された。

ZARA広報は17日、英字メディアPear Videoの取材に対して、ウェブ広告は中国市場向けではなく世界的なもの。広告コンセプトは、細工された美しさよりも、「不完全」ともいえる自然な美に対する寛容を表すもので、アジア人女性の侮辱の意図はないとコメントした。また、モデルはZARAが選択したもので、中国の好みとは異なるとした。

微博で名を知られるファッションに詳しいコメンテーターAIRAN氏は、「ファッション業界では、顔は美しさや不細工が判断基準ではなく、インパクトが与えられるかどうかが選択基準」と書き、ZARA側の表現は人種差別的ではないとした。

AIRAN氏によれば、中国人の怒りは、美に対する価値観の違いに由来するのだという。西洋人はふくよかな体つきや吹き出物など、自然体を称賛する傾向があるが、大半の中国人は細身や白く輝く肌を美しいと称えると解説した。

怒りを抑える目的で、中国日報は「ZARAは中国を侮辱したか?愛国者よ、そんなに過剰になるな」と社説を発表。中国人モデルを起用したZARAの広告表現に対する不満は「中国人の国家的イメージを保護するための反応かもしれないが、過敏になっている。文化の価値観への理解が欠如している」と主張した。

官製紙・澎湃(ほうはい)も、「国際的なブランドのなかで、広告モデルのそばかすやしみを隠さないのは、常識的に使われている表現手法だ。むしろ、歓迎されている」と中国ユーザーをなだめた。

中国人のひんしゅくを買って市場縮小を余儀なくされた西欧ファッションブランドがある。2018年11月、イタリアのドルチェ&ガッバーナ(D&G)が公開した、アジア人女性モデルがピザやスパゲッティを箸で突き刺して食べる動画は「人種差別」として、中国で波紋が広がった。

広告に対するクレームに、D&G創業者兼デザイナー、ステファノ・ガッバーナ氏は個人のSNSアカウントで「愚かで汚く悪臭がする中国ヤクザ」と書き込み、ブランドイメージの低下を招いた。D&Gは、中国における不買運動発生、中国ネットでの情報封鎖、上海ショーの中止により、同年の売り上げは3割減と推計されている。

(編集・佐渡道世)