トランプ大統領、愛国を強調 再び共産主義批判=国連演説

2018/09/26
更新: 2018/09/26

トランプ大統領は9月25日、ワシントンで開かれた第73回国連総会の一般演説で、グローバリズムの貿易体制改革を訴え、中国による世界貿易機関(WTO)ルールの濫用を批判した。また、社会主義と共産主義が人々に災難をもたらしていると述べ、世界各国がこの勢力に抵抗するよう呼びかけた。

トランプ大統領は30分の演説のなかで、外交問題ほか、経済と雇用の面で自国の成功を語った。「米国は、私が就任したこの2年足らずで、より安全で強く、豊かな国になった」「私たちは米国と米国人のために立ち上がる。また、世界のためにも立ち上がる。これは、平和を愛する世界中の人々への福報となる」と述べた。

トランプ大統領はまた、社会主義と共産主義を非難し、これを基礎とするグローバリズムに否定的な立場であることを明確に示した。「社会主義や共産主義は事実、どこにでもみられた。いずれも苦痛、腐敗、堕落をもたらしてきた」と強調。 「米国は、常に世界各国の独立性と統治の協力を選択してきた」と述べた。

過去一年間、米国はパリ気候変動条約、国連人権理事会、イランの核制裁から抜け出した。さらに、国際刑事裁判所を批判し、グローバル・コンパクトへの参加を拒否した。「私たちは米国の主権を、受け入れが難しく選択制のない統制に明け渡すことは絶対にしない」と述べた。

移民に関するグローバル・コンパクトについて、「移民の危機に対する長期的な解決策は、彼らが自国で希望ある未来を築けるよう支援するだけだ。彼らの国が再び偉大になるように」と語った。

「国境を守り、犯罪集団を解体させることで、悪循環を断ち切り、繁栄のための基盤を確立できる」と付け加えた。

社会主義と共産主義

トランプ大統領はまた、社会主義マドゥロ政権下で200万人以上の国民が脱出を余儀なくされた、ベネズエラの悲劇を例にあげた。「ベネズエラは地球上で最も豊かな国の一つだった。しかし、社会主義が石油資源の豊かな国を破壊し、国民を貧困に追いやった」「社会主義の欲求は、拡張、侵略、抑圧につながる。世界のすべての国家は、社会主義がすべての人々にもたらす悲惨さに抵抗しなければならない」と述べた。

大統領は昨年9月国連総会でのスピーチでも、「ソビエト連邦からキューバ、ベネズエラに至るまで、真の社会主義や共産主義が採択されているところでは、それは苦痛と荒廃と失敗をもたらした」と言及した。

トランプ大統領は、マドゥロ大統領と同夫人、副大統領ら側近に対して、制裁措置をとることを発表している。

さらに、WTOをはじめとする貿易慣行について見直しが求められていると強調した。大統領は中国を貿易ルールの乱用者と呼び、中国が2001年にWTOに加盟して以来、米国は製造業で300万人以上、鉄鋼業でほぼ4分の1の雇用を失ったと述べた。

「これまで20年間、中国に対する貿易赤字に苦しんできたがそうした時代は終わった。貿易の不均衡は受け入れられない」と述べた。トランプ政権はこれまで2500億ドル(約25兆円)相当の中国製品に関税を設定した。

演説は、国の主権と愛国を重視するとの姿勢を強調することで締めくくった。「米国は米国人によって統治される。 私たちはグローバリズムを拒否し、愛国心を基盤とする」「責任をもって、グローバル・ガバナンスだけでなく、脅威となる他の強制力と支配力から米国の主権を守らなければならない」「一緒に愛国心、繁栄、そして誇りある未来を選んでいこう」。

(編集・佐渡道世)