南北、鉄道連結区間をチェック 制裁解除前の動きに「時期尚早」の見方

2018/07/21
更新: 2018/07/21

韓国統一省は20日、韓国と北朝鮮を結ぶ鉄道の再連結に向けた共同点検実施のため、韓国国土交通省の鉄道局長を代表とする15人が訪朝したと発表した。具体的な作業は対北制裁解除後とされているが、非核化の長期化が見込まれる中、南北の経済交流は時期尚早との見方がある。

南北をつなぐ鉄道は朝鮮戦争で分断した。黄晟圭・鉄道局長を団長とする一団は20日に日本海沿いの「東海線」を、24日に中ロに沿う黄海側の「京義線」の南北連結区間を、再連結のため現地点検する。

東海線は、中国大陸鉄道(TCR)と軍事境界線(MDL)につながる。京義線は、ロシアの横断鉄道(TSR)と軍事境界線(MDL)につながる。共同点検直後に南北共同研究調査団の実務会議が予定されている。現在ある北朝鮮の線路は、日本統治時代にそのほとんどが敷設(ふせつ)されたもの。

南北の鉄道連結事業は「東海線・京義線鉄道の接続と近代化」に合意した4.27板門店宣言に従うもの。南北は6月26日、鉄道協力分科会談を開き、具体化した。当初は7月中旬に共同点検が進む予定だったが、19日に計画を確定した。

南北鉄道連結は、文在寅政権がかかげる「朝鮮半島の新経済構想」の中核でもある。朝鮮半島をH形に開発することで3大経済ベルトを誕生させる。東に南北が共同で金剛山~元山・端川市- 清津・羅先市を開発した後、日本とロシアを接続する「エネルギー・資源ベルト」、西は首都圏~開城工団~平壌・南浦~新義州を結ぶ「物流・交通ベルト」、非武装地帯(DMZ)を中心に「環境・観光ベルト」を形成する構想だ。

韓国文在寅政権が提唱する「朝鮮半島の新経済構想」における「三大経済ベルト」の図 (赤色の矢印)東海線を含む環東海圏(青色の矢印)京義線を含む環西海圏(黄海側)緑色の矢印(紺色の矢印)DMZ接境地域(韓国統一省より引用)

本格的な着手は制裁解除後 非核化が長期化し「時期尚早」の声も

韓国政府は、南北鉄道経済協力に関わる実態調査、共同研究について言及しているが、この経済協力は、北朝鮮に対する経済制裁が解除された後に可能となる。

大統領府関係者は19日、聯合ニュースとのインタビューで「まだ北朝鮮非核化の問題が解決されておらず、国際社会の対北朝鮮制裁もかかっている状況で、具体的な鉄道経済協力方法を論じるのは早すぎると感じる」と述べた。そのうえで、制裁後の本格的な経済協力が進行できる環境を整える必要があるとした。

最近の北朝鮮の強硬発言により、非核化が長期化するとの見通しが提起される中、対北朝鮮制裁の解除とこれに伴う鉄道経済協力が劇的に進展することは期待できない状況だ。

(翻訳編集・斎潤)