韓国証券会社など7社の代表は6月4日、中国国有石油・ガス供給会社の中国国儲能源化工集団股份有限公司(以下、国儲能源)の北京本社を訪れ、同社が発行する資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)の元本早期償還に関して、交渉を行った。国儲能源は、5月上旬に満期を迎えた同社のドル建て社債3億5000万ドル(約383億円)をデフォルトした。
韓国メディアによると、5月8日国儲能源は、韓国で1650億ウォン(約168億円)規模のABCP(企業が短期間に資金を調達するために発行する約束手形)を、韓国での特別目的会社(SPC)を通じて発行した。償還日は今年11月8日。集められた資金は国儲能源の他の債務返済に充てられる。
しかし、同社は11日に償還日を迎えた3年物ドル建て社債をデフォルトした。27日、国儲能源は、香港証券当局への届け出でデフォルトと債券の売買停止を正式に発表した。
このため、韓国の一部の証券会社は、国儲能源の社債を格下げした。韓国で発行済みのABCPもデフォルトの可能性があるとして、韓国の証券会社などの債権者は、国儲能源に対して元本の期限前償還を求めている。韓国の証券会社は、北京市政府が大株主を務める国儲能源のデフォルトリスクを予想しなかった。
国儲能源にほかにも2021年と2022年に満期を迎える社債がある。合計18億ドル規模。国儲能源は、香港証券取引所のウェブサイトで発表した声明文において、18億ドル(約1971億円)規模の社債について、今年の配当の支払いを見送るとした。これらの社債もデフォルトの可能性が高いとみられる。
中国国内メディアによると、国儲能源は韓国側に対して、今月末までに債務返済の計画書を提出するとの取り決めを行った。
中国では今年に入ってから、企業の債務不履行が相次いでいた。当局がシャドーバンキング等リスクの高い資金調達に対して取り締まりを強化したことで、すでに巨額の債務を抱える企業の資金難に拍車をかけた。
国内経済情報を提供する企業「Wind」によると、5月7日まで、中国ではすでに19件の社債がデフォルトになった。前年同期比で19%増。デフォルトの金額規模は143億5400万元(約2440億円)で、同20%増加した。
2018年に償還日を迎える社債は過去最多とみられる。中国証券業協会が最近発表した統計では、今年償還日を迎える私募社債規模は7585億元(約12兆8945億円)で、昨年の2.37倍だ。また、3年後の2021年に償還する私募社債規模は8000億元(約13兆6000億円)を上回る。
米ノースカロライナ大学の謝田教授は、中国経済の下振れリスクと米中通商問題の影響で、中国企業の経営環境は悪化しているとした。今後、輸出関連企業をはじめ、債務不履行に陥る中国企業がさらに増えると予測した。
(翻訳編集・張哲)