オーストラリアのシンクタンクがこのほど、日米など在中大使館の中国版ツイッター「微博」の利用状況に関する調査報告を発表した。各大使館の投稿と、その投稿に対する中国人ネットユーザーのコメントは厳しく検閲されていることが分かった。なかでも、米国大使館のアカウントに対する監視が最も厳しいという。
調査は「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」が昨年11月から今年1月まで、米国、英国、日本、カナダ、フランスなどの10カ国の大使館を対象に行った。
中国ではFacebookとTwitterの使用が禁止されているため、外国大使館は、中国企業が提供するSNS、「微博」と「微信(ウィーチャット)」を利用している。
ASPIの発表によると、中国ネット検閲当局が、米国大使館の28件の投稿に対して検閲を行ったという。件数として、10カ国のなかで最多。
また、仏大使館12件、キューバ大使館5件、オーストラリア大使館3件、日本、韓国と英国の大使館がそれぞれ1件の投稿に対して検閲があった。
英紙・フィナンシャルタイムズによると、在中米大使館の関係者は「中国当局は大使館の投稿を常に検閲している」と話した。
ASPIの調査によると、中国人ネットユーザーが、米大使館の投稿についてコメントを書き込む際、「直ちにコメントを発表できません」との警告が表示される現象がもっとも多く見られた。これは当局の主な検閲手段だという。
そのほか、「コメントは発表されましたが、削除されました」「コメントは直ちに削除されました」などの現象も見られた。
今年1月、米国大使館が「微博」で、暫定予算の期限切れで連邦政府の一部機関が閉鎖されるとの内容を投稿した。その直後、中国人ネットユーザーから約2000件のコメントが寄せられた。しかし、当局がコメントを削除したうえ、アカウントのコメント投稿機能を停止させた。
ASPIのファーガス・レイン(Fergus Ryan)研究員は「この投稿に触発され、米中政治体制の違いにネットユーザーが関心を示すことに、当局は警戒している」との見解を示した。
米ホワイトハウスは今月、中国当局が米国航空会社に対して「台湾を中国の一部と表示する」よう求めたことは、「オーウェル的ナンセンスだ」と批判する声明文を発表した。米大使館はその中国語訳文を微博で掲載した。
中国当局はその後、米大使館の声明文に対するコメントの一部を削除し、投稿のシェア機能も停止した。
(翻訳編集・張哲)