[ワシントン/北京 13日 ロイター] – トランプ米政権が中国からの輸入品のうち最大600億ドルに相当する製品に関税を課すことを計画していることが13日、政権側とこの問題について協議した2人の関係者の話で明らかになった。ハイテク、通信分野を主な標的とするとしている。
政権に近い別の関係筋によると、計画中の関税は米国が昨年8月から実施している、米通商法301条に基づく知的財産権侵害に関する調査と関連しており、「非常に近い将来に」導入される可能性がある。
現時点での対象は主に情報技術(IT)や通信機器、家電だが、最終的に対象が一段と拡大され、100点に上る可能性があるという。
ホワイトハウスはコメントを差し控えた。
トランプ政権は、米企業に中国での営業を認める見返りに機密技術の提供を事実上強要する中国の投資政策など、米政府が不公正と見なす知財関連の慣行に対し、中国に制裁を加える考え。
また、国家安全保障に基づく措置以外にも中国企業に対する投資制限を検討しているが、詳細は現時点で明らかになっていない。ワシントンのロビイストらは、衣料品や靴、玩具など、労働集約型の消費財が対象になる可能性について懸念を示した。
小売業リーダー協会(RILA)の通商担当ロビイストはこれらの製品に高関税が課された場合、「米家計が打撃を受ける」と指摘。
「高価なカシミアニットではなく、子供が学校に着て行く綿製のTシャツやジーンズ、靴に影響が出ることを問題にしている」と強調した。
中国の対米貿易黒字は約3750億ドル。トランプ政権は中国に対し、貿易黒字の縮小を求めてきた。
米国が中国を直接標的とする関税を導入すれば、中国は米国に対し強硬な対抗措置に出る可能性がある。
米政治専門サイト「ポリティコ」は先に、米通商代表部(USTR)が前週、中国からの輸入品のうち年間300億ドルに相当する製品に関税を課す案をトランプ大統領に提示したが、トランプ氏がこれでは足りないとの見方を側近らに示したと報じていた。
ホワイトハウスとこの問題について協議した1人の財界関係者は、対象となる中国製品の額は既に約600億ドルに拡大し、幅広い製品が検討されていると明かした。
業界ロビイストである別の関係者は、保護主義を推進するナバロ通商製造政策局長とライトハイザーUSTR代表が関税の検討を主導していると明かした。
下院歳入委員会のブラディ委員長は議会で記者団に、トランプ大統領は知財侵害の問題に本気で取り組んでおり、幅広い選択肢が検討されていると説明した。
欧州連合(EU)高官による協議について詳しい中国拠点の財界関係者は、これまで半年間にわたり、中国の産業政策に米国とEUが協力して対応するための米政府による「明確な取り組み」があったが、トランプ大統領が決定した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限が原因でEU側は協力姿勢を後退させたと指摘。
「トランプ政権の高官らは欧州の高官に直接接触し、中国問題で協力することに意欲が示されていた。それが今となっては不可能になった」と述べた。
*内容を追加しました。
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