中国で近年若者を中心に、クリスマスを家族や友人と祝う習慣が広がっている。しかし、中国当局がクリスマス関連イベントの開催を禁止しようとしている。背景には、当局が欧米社会の価値観の普及をに恐れ、共産党思想の統制を維持しようとする思惑がある。
米ボイス・オブ・アメリカ(22日付)の報道によると、中国瀋陽薬科大学の共産主義青年団(共青団)委員会が団員に対して、「西側文化の浸食に対抗せよ」として、欧米の宗教イベントの開催を禁止する、と通達した。
また、安徽省共青団も会員制交流サイト(SNS)の「微信」アカウントを通じて、「中国は過去西側列強に侵攻されたため、クリスマスを『屈辱の記念日』と見なすべきだ」とした。
共青団だけではなく、中国共産党も同様に禁止令を出した。湖南省衡陽市の共産党紀律検査当局は、党員とその親族に対して、クリスマスイブやクリスマス当日のイベントへの参加を禁じた。同市の警察当局は、クリスマス期間中に市中心部でのパトロールを強化し、市民の身分証明書を徹底的チェックしていくと表明した。
さらに、甘粛省など一部の地域では、地方政府がクリスマス関連のグッズの販売を禁止した。
中国国内では、数年前からクリスマスをボイコットする動きがすでにあった。中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」は2014年12月25日、中国でのクリスマスの広がりは米国が仕掛けた「イデオロギー的心理戦」で、「米国の政治理念と価値観を広げようとしている」との評論記事を掲載し、猛烈に批判を行った。また、同記事では、党員らの宗教信仰、宗教イベントの参加をいっさい禁じると強調した。
時事評論員の李沐陽氏は、中国当局は欧米社会の価値観が普及し、共産党統治が動揺するのを恐れていると指摘した。
一方、中国国内インターネット上では、当局のクリスマス禁止令に反発の声があがった。中には、「西側の文化を排除するなら、まずマルクス・レーニン主義の排除から始まるべきだ」、「クリスマスの代わりに、中国の伝統的な祭日を過ごすべきと(当局は)言うけど、(当局が)その中国伝統文化を破壊した張本人ではないか?」と非難のコメントが寄せられた。
さらに、2012年のクリスマスシーズンに、習近平国家主席とサンタクロースとの集合写真を見つけたネットユーザーが、「国家主席がクリスマスを過ごせるのに、なぜ私たちはダメなの?」と批判した。
(翻訳編集・張哲)
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