中国共産党中央規律検査委員会(中規委)は21日、同ウェブサイトで、党中央宣伝部前副部長(次官級)の魯煒氏(57)が「重大な規律違反」の疑いで取り調べを受けていると発表し、「第19回党大会後の初のトラだ」と強調した。
インターネット管理を統括する国家インターネット情報弁公室(網信弁)の前トップでも同氏は厳しいネット規制を進めてきたため、「中国インターネットの皇帝」と呼ばれた。記者出身で、かつて新華社副社長、北京市宣伝部長などを歴任。2014年5月、網信弁主任と中宣部副部長に任命された。
昨年6月末に、魯氏は網信弁主任を免職された。習近平氏の側近、徐麟・網信弁第一副主任が主任に昇格した。習近平氏は就任後、江沢民派を一掃し権力基盤を強化してきた。香港メディアは、最高指導部でプロパガンダを担当する江沢民派メンバー・劉雲山氏に近いため、魯氏が職を追われた、と報道した。
今回の中規委の発表について、海外中国語メディアは情報筋の話として、魯氏が習近平氏からの指令を無視し、江沢民派に掌握された中央宣伝部の命令を実行したことが失脚の最大の理由であると伝えた。また、新華社副社長を務めていた当時の汚職も理由の一つと言われている。
習近平氏は、インターネット政策を決める「党中央インターネット安全情報化指導小組」のトップを兼任している。同組織は14年2月に設立した。
さらに昨年3月に開催された両会(全国人民代表大会と政治協商会議)期間中に、新疆ウイグル自治区の政府系メディア「無界網」が習近平氏の退陣を求める公開書簡を掲載した。海外メディアは、習政権はネット情報統制当局のトップだった魯煒氏に責任を問うことにしたと推測した。
魯氏による中国ネット検閲強化
魯煒氏は網信弁トップの座に就いてから、インターネットで厳しい検閲体制を敷いた。
米紙・ニューヨークタイムズの報道によると、2014年6月に英ロンドンでの国際会議に出席した魯氏は、中国ではより厳しいネット検閲を実施する必要があると発言した。
魯氏が就任後、当局はネット検閲関連法案の整備を加速化した。海外中国語メディアによると、「ネット上の投稿が500回以上転載されれば、投稿者に法的責任を追及することができる」などの規制は魯氏が考案したものだと、網信弁内部者が漏らした。
また、16年11月に「インターネット安全法」も導入され、ネット掲示板の管理者の実名登録を義務化した。
米人権団体のフリーダムハウスが今月14日に発表した『2017年インターネット自由度報告』によると、中国のネット上の言論自由度は世界最下位だ。中国当局は、「法輪功」「文化大革命」「六四天安門事件」「新疆ウイグル自治区」「チベット」などの情報をインターネットで厳しく検閲している。
同調査によると、中国国内の法輪功愛好者で、交流サイト(SNS)の「微信」や「QQ」で迫害や人権侵害に関する文章を投稿した利用者は、相次ぎ当局に身柄を拘束された。
中国華南理工大学出身で法輪功愛好者の鄭景賢氏(32)は、SNS「新浪微博」で中国の民主化運動、人権問題、法体制について投稿してきた。しかし、15年2月に広州市国家安全当局に拘束され、16年12月に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡された。
広州市民の黄潛氏(45)も15年初め、ネット上で中国当局による法輪功愛好者への迫害について5回投稿した。当局は16年12月に、黄氏に対して懲役5年の実刑判決を下した。
(翻訳編集・張哲)
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