中国当局、消費者金融や住宅売却規制を強化 不動産株一時急落

2017/09/29
更新: 2017/09/29

中国国内と香港の株式市場で週明けの25日、不動産関連株価相場が大幅に下落した。先週末に、四川省重慶市や貴州省貴陽市など、8都市の政府が相次ぎ不動産バブル抑制策の一環として、新たに住宅売却の規制を打ち出した。また人民銀行(中央銀行)が住宅購入のための消費者金融を禁止する動きもみられた。その為、不動産関連企業の収益が悪化するとの観測が広がり、投資家からの売り注文が集中した。

中国当局は不動産価格抑制対策で住宅ローンを規制してきたが、市民の住宅への投機意欲は減退してはいない。近年、消費者金融から資金を調達し、住宅市場で投機活動を続けている。

国内メディア「新浪財経」などの報道によると、人民銀行(中央銀行)がこのほど行った調査では、今年すでに数千億元(数兆円)規模の資金が、消費者金融を通じて不動産市場に流れ込んでいる。そのため、人民銀行や各地の銀行監督当局は、消費者金融への取り締まり強化に踏み切ったと報じた。

25日、中国国内人民元建てA株市場では、不動産株が前営業日比平均で3.92%下落した。香港H株市場では、香港ハンセン不動産指数も同4.78%安となった。

 40の都市で相次ぐ売却規制

中国各都市が不動産バブルを抑止するため、数年前から、価格・融資制限、購入・売却規制など次々と対策を打ち出しているにもかかわらず、昨年中国全体で住宅価格は大幅に上昇した。

今回の8都市を加えると、今年3月から全国102都市のうち40の都市が、最後の切り札ともいわれる売却規制を導入した。新築か中古かにかかわらず、住宅(土地)購入後、2~5年売却を禁止。特定の物件・土地に売却禁止期間10年を設ける都市もある。価格をつりあげる投機マネーを追い出すことが狙いだとみられる。

一方、中国メディア「券商中国」によると、8月不動産企業の売り上げ金額と販売面積が過去最高となった。 大中都市では、抑制措置の影響で取引件数は前年比で減少したが、住宅価格は下がっていない。 北京市では相場が一番高い東城区の中古マンションの平均坪単価が、およそ36.3万元(約617万円)上海市中心地・静安区の中古マンションの平均坪単価はおよそ30万元(約510万円)

また、中小都市では以前より不動産市場が過熱しており、取引件数・価格とも大幅に上昇しているという。 

この手あの手でも、収まらない中国の不動産バブル

2010年からこれほどの対策を講じてきたのに、なぜバブルが収束しないのか。国内専門家はいくつかの理由を指摘した。

◆不動産業で億万長者を輩出していることから、一般市民、特に20~30代は一番手早く儲かる手段として、この分野の投資に参入している。価格が高騰するのは投機需要があるからだ。

◆不動産業界は3~4年後に、相場が新たに上昇サイクルに入ると見込んでいるため、土地への需要は依然と強い。

◆その一方、地方政府は土地の供給をコントロールしている。地方政府にとって「不動産企業に土地を売れば(土地使用権の価格競争入札)金が入る」当局の資料などによると、土地使用権譲渡での収益は地方政府の主要財政収入で、一部の都市では歳入の50%以上も占めている。

地方政府は今現在、土地供給を減らしている。目的は企業の強い需要を見込んで、土地使用権の競争入札でより高い入札金額を叩き出させるためだ。

中国不動産市場調査会社の中原地産研究センターが、9月25日に発表した統計によると、地方政府の土地使用権の譲渡収入は、今年に入ってから現在まで中国主要50都市で、昨年比で32%増加した。山東省菏澤市では、前年比で6倍以上も急増した。

バブルを防ごうとする地方政府は、バブルを拡大させる張本人だと言えよう。

参考記事:中国不動産市場 なぜ抑制措置は効果がないのか

(翻訳編集・叶清/張晢)