北朝鮮が3日に行った核実験は、中国福建省アモイで行われた新興5カ国(BRICs)首脳会議とタイミングが重なった。メンツが丸潰れにされた中国当局は国内では北朝鮮の核実験に関して言論統制を強化し、「水爆」はネット上で検索禁止のワードとなった。
中国当局、水爆について言論統制を強化
中国国内インターネット上でも、北朝鮮の核実験は話題となっている。しかし、関連投稿を削除するなど、当局は言論統制を敷いている。中国版ツイッター「新浪微博」では、「水爆」が検索禁止ワードとなった。
同時に、中国各メディアも北朝鮮の核実験について、ほとんど報道していない。中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」中国語電子版が同核実験について、3日に社説を掲載したにもかかわらず、数時間後に削除された。また、政府系メディアの「新華網」、「人民網」などのトップページで、中国外交部の抗議声明だけを載せ、関連報道や評論記事は掲載されなかった。
一部の海外中国語メディアは、中国当局が各メディアに対して、北朝鮮の水爆実験成功について報道や評論しないよう指示した、と報道した。
官製メディアはBRICs首脳会議の成功をアピールしているが、国民は不透明な中朝関係に不安を感じている。長年続けてきた北朝鮮支援の恩は「仇で返された」形となり、国民から批判の声が高まることに当局は神経を尖らせているようだ。
北朝鮮「水爆」の脅威
北朝鮮の水爆実験で、核実験場がある同国咸鏡北道吉州郡豊渓里でマグニチュード6.3の大きな揺れを観測した。北朝鮮当局は、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載のために」水爆実験を行ったと発表。
水爆は、水素の同位体の重水素とトリチウムの核融合反応を誘発して莫大なエネルギーを放出させる仕組み。水爆搭載のミサイルは、爆弾が着地の前に空中で爆発が可能であるため、殺傷力と破壊力は原子爆弾よりさらに強い。
今回の核実験について、韓国当局は爆発の威力が前回の核実験の10倍だとした。
日本の小野寺防衛大臣も6日、北朝鮮の核実験の威力は広島原爆の10倍で、TNT火薬に換算すれば約160キロトンになると発表した。
中国の時事情報サイト「鈍角網」(4日付)が掲載した分析記事では、北朝鮮が頻繁に核実験を行うことで、核戦争に発展しかねないと指摘した。また、「戦争となれば、中国東北地方では数多くの難民が殺到すると予測。戦争が起きなくても、度重なる核実験で中国の東北地方が深刻な放射能汚染に見舞われる」と警鐘を鳴らした。
南京大学国際関係学院の朱峰・院長は米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、「北朝鮮が核保有国となると、朝鮮半島の情勢がさらに不安定になる。軍事衝突が発生する可能性が高まり、中国が直接影響を受ける」と話し、中国国民の人的被害と環境破壊が十分に考えられるとした。
時事評論員の傅申奇氏はこのほど、米ラジオ・フリー・アジアに対して、中国当局が今まで、北朝鮮に対して経済的・技術的に援助し、さらに原材料なども提供した結果、同国が現在の核能力を持つようになったと指摘した。
傅氏は、北朝鮮の核・ミサイル問題の結末に3通りがあるとした。「1つ目は、北朝鮮に国際社会が譲歩する。北朝鮮は莫大な利益を手に入れ、同時に非核化する。2つ目は国際社会が譲らず、(米韓らが)金正恩が暗殺され金政権は崩壊する。中国当局も国際社会で孤立することになる。3つ目は、金正恩が全てを賭けて、核弾頭搭載のミサイルを発射。中国東北地方が甚大な被害を受ける」
(翻訳編集・張哲)
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