一帯一路 評論・陳破空

中国「一帯一路」経済圏構想、その狙いは?

2017/05/03
更新: 2017/05/03

今月14~15日に、中国北京でシルクロード経済圏構想の「一帯一路」サミットを開催される予定。在米中国政治評論家の陳破空氏は4月20日、自由アジア放送(RFA)に寄稿し、中国当局は「一帯一路」を通じて政治的かつ経済的な力を深める狙いがあると分析した。以下はその抄訳だ。

今月中旬、中国北京では「一帯一路」サミットが開催される予定だ。現在、アフリカや南アジア、中央ヨーロッパなど28カ国の首脳が出席すると確認されている。一方、多くの先進国や、インド、ブラジルなど新興国の首脳が出席しないとみられている。

これは「一帯一路」経済圏構想を高く掲げ、意気溢れる中国当局にとっては、非常に殺風景な状況に違いないだろう。

中国当局は「一帯一路」を実現するために、アジアインフラ投資銀行AIIB)の創立を主導し、2015年12月に創設メンバー57カ国で発足させた。しかし、世界第一位の経済大国のアメリカと第三位の日本はいまだに、AIIBへの参加を見送っている。

日本政府は中国当局に、AIIBで起こりうる腐敗問題に対してどのように回避していくのか、また債務不履行リスクをどのように対応するのかと問い合わせている。ところが、中国当局は回答せず、これが日本が参加を見送った理由の一つとなった。また、中国主導のAIIBは、日本主導のアジア開発銀行(ADB)に対抗する目的で創設されたことも、日本が見送った原因でもある。

中国政府が提唱した「一帯一路」構想とは、中国西部と中央アジア・欧州を結ぶ「シルクロード経済帯」(一帯)と、中国沿岸部と東南アジア・インド・アフリカ東を結ぶ「海上シルクロード」(一路)で、世界規模の経済圏を形成していくことを指す。

この構想は、表面的に7世紀の「シルクロード」の理念を継承しているが、民間で形成するような国際商業用ロードと違って、「一帯一路」構想には中国当局の政治的かつ経済的な2つの狙いがある。

その一つ目は、経済援助と経済開発の名目で、その経済圏にいる各国を掌握し、圏内で中国式の覇権主義を推し進め、北京を中心とした世界経済ネットワークを形成していく狙いがある。二つ目は、中国の生産過剰を海外に移し、中国経済の衰退危機とリスクを転嫁させる狙いだ。

「一帯一路」最初のプロジェクトはパキスタンで、大型水力発電所を建設している。中国側は「中パ経済回廊」の一環だとして、優先的に発展させると示している。パキスタンは北朝鮮を除き、中国の唯一の盟友と言えることから、中国当局は中国共産党に服従する国を優先に投資するのだというシグナルを送っていると考えられる。

このような意図は東ヨーロッパのチェコにも見える。中国とチェコは今年2月から「一帯一路チェコ年」として、大規模なイベント開催を共同で行い始めた。中国が東欧諸国の中で、チェコへの投資を優先するのは明らかだろう。

「一帯一路」は、英語に訳すと「One Belt and One Road」というのだが、今年、外交部の王毅部長は記者会見の際に、「Belt and Road」に変えた。明白に「中国が主導する」というイメージを払拭しようとしている。しかし、中国語に訳せば「帯と路」になるので、実にちぐはぐだ。

AIIBにせよ、「一帯一路」にせよ、実際に中国当局のもう一つの目的が隠されている。これは、中国共産党高官らが汚職で得た巨額な資金を、「対外投資」を通じて、国際上で合法化しマネーロンダリングをすることだ。この方法は今、世の中で最も巧妙なマネーロンダリング方法であるかもしれない。

(翻訳編集・張哲)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。