中国共産党の最高軍事指導機関である中央軍事委員会はこのほど、新たな『軍領導幹部個人事項関連報告に関する規定』を発布した。同規定では、人民解放軍幹部は個人の婚姻状況、私的入出国の状況、子女の婚姻状況、配偶者と子女の海外移住状況と国内外での就業状況などを報告しなければならないと定める。
カナダの中国語軍事専門誌「漢和防務評論」(Kanwa Defense Review)発行人の平可夫氏は、同規定の発布は、習近平国家主席が推進している軍事制度改革の重要なプロセスだと分析する。これは「習氏が2012年国家主席に就任直後に、米国ハーバード大学に留学中の娘を帰国させ、姉に対して商売を許さなかった原因でもある」と述べた。
海外メディアは2013年、習氏は10年からハーバード大学にいる娘の習明沢氏に、身の安全との理由で呼び戻したと報道した。中国当局は今まで、習明沢氏の写真などを公表したことはない。
また同規定では、軍幹部に対して、個人の収入、個人と配偶者と子女の不動産・住宅所有状況、有価証券、株式などの金融資産所有状況、配偶者と子女の投資やビジネス起業などもの報告を要求している。毎年1月31日までに、「軍領導幹部個人事項関連報告書」を記入しなければならず、新任の「軍領導幹部」は、任命命令あるいは党内職務の決定後の30日以内に報告するよう指示されたという。
一方、軍幹部に対して、個人や親族に関する報告義務の規定は、2008年にはあった。
人民解放軍機関紙「解放軍報」は2012年6月21日付で、2008年に発布した『軍隊党員領導幹部の個人事項関連報告に関する規定』を修訂した上、中央軍事委員会の批准を得て、総政治部は同規定を新たに発布したという。
当時一部の海外中国語メディアは、軍側のこの動きは汚職問題で失脚させられた総後勤部(人民解放軍の補給を担当)の谷俊山・前副部長(元中将)に関係し、軍内の腐敗分子を打撃するためだと分析した。谷氏は12年2月、汚職問題で身柄を拘束された。
胡錦涛政権時にすでに個人と親族の収入資産などの報告制度があったにもかかわらず、党内江沢民派閥の徐才厚や郭伯雄をはじめとして、軍内汚職が深刻化した。一部の専門家は、習近平体制の下で、同規定は着実に実施されるかどうか、反腐敗の効果があるかどうかは、まだ不明と指摘した。
(翻訳編集・張哲)