中国国務院が3月6日発表した「老齢事業発展計画」によると、2020年に60歳以上の高齢者は2億5500万人に達し、総人口の約2割を占めると予測した。労働人口が減少し、急速に進む中国の高齢化問題は再び注目されている。
同計画によると、20年60歳以上の高齢者の数は総人口の17.8%(14年末は15.5%)に達し、その内80歳以上の高齢者の数は約2900万人まで増える。また、高齢者の扶養比率(高齢人口に対する労働人口の割合)は28%で、5人で1.4人の高齢者を扶養しなければならないことを意味する。
北京大学社会学部の李建新教授は、中国の高齢化が急速に進んだ主因はやはり1979年から実施されてきた一人っ子政策にあると指摘する。
中国当局は、著しいペースで進む高齢化を歯止めするために、15年11月この人口抑制政策を廃止し、2人目の子供の出産を認めた。しかし、子供の養育費負担増加などの経済的な理由や、年齢的に2人目を産むのが難しいとされる女性の数が多いため、16年の新生児は増えなかった。中国国家衛生計画生育委員会の統計によると、一人っ子政策廃止後の16年1年間の新生児の数は1618万人で、15年と比べて2%減少した。
一方、高齢者の老後生活を支える「養老金(養老年金)」の不足金額の拡大が高齢者社会の中国に影を落としている。原因は中国養老年金制度の不完備による収支バランスの不均衡や年金資金の運用効率の低さなどが挙げられる。
中国当局が公表した統計によると、14年の年金不足金額は1563億元(約2兆6571億円)で、15年には前年比で倍増の3115億3300万元(約5兆2961億円)となった。
ロイター通信社が15年に掲載した評論記事では、中国の年金制度のリスクを指摘した上、「今後20年間中国養老年金の不足金額は11兆米ドル(約1265兆円)に達する」と報じた。
(翻訳編集・張哲)
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