中国政法大学が5月21日に発表した『中国誠信建設状況研究報告書』によると、信用度の低さで中国企業には毎年約6000億元(約10兆500億円)の経済損失がもたらされている。この報告書は、中国政法大学の中国誠信建設研究センターと一部の政府関係部門やマスコミなどが合同で行ったもので、信用調査として中国初の権威ある調査報告書だという。
同報告書では、国内の一部の企業が偽物を生産し販売する、詐欺行為で国民の資産をだまし取る、契約違反などなどの事件が頻繁に起きることが、中国経済の発展を妨げる大きな原因と指摘。このような事件が起きる原因は地方政府の保護主義、政府関係部門の管理監督の不充分などにあると分析。
最も信用できない業界について、回答者は医薬品、不動産、美容、サービス、結婚紹介所・職業紹介所などの仲介業を挙げた。
また同調査書から、人間関係や企業への信用度と比べ、政府への信用度がより低いことが分かった。回答者のうちの37.8%が政府への信用危機について「非常に懸念する」と表明した。
この調査について、インターネット上で一部のネットユーザーが、どのようにして毎年6000億元の経済損失が出ていると計算したのかわからないが、企業信用度は社会信用度の一部であるため、現在社会全体の信用危機は計り知れないほど深刻だと指摘した。
近年、国内で相次いで起きた偽粉ミルク、毒餃子、毒豚肉、建設企業の手抜き工事、理財(資産運営)企業のねずみ講、有名人の学歴詐称、学者の論文ねつ造、政府幹部の汚職などは、中国は道徳水準が低下し、信頼できない社会になったことの反映といえる。
国内メディアによると、現在、社会の信用危機は腐敗に次ぎ、経済発展を妨げる2番目の要因となっている。信用危機で、経済全体の運営コストが約15%増えているという。
社会信用危機の深刻化の根本原因は、共産党政権が行った文化大革命など数々の政治運動と、共産党幹部らの腐敗にある。中国では共産党政権になってから、伝統的な思想である「仁、義、礼、智、信」が完全に破壊されたからだとみる。
(翻訳編集・張哲)
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