米国海外投資コンサルタント会社のロディウムグループと非営利組織(NPO)の米中関係全国委員会(NCUSCR)が4月12日に発表した調査報告によると、2015年企業買収・合併で中国企業による米国での総投資規模は過去最高150億ドル(約1兆6400億円)で、16年はさらに増加して200億~300億ドル(約2兆1900億~3兆2800億円)に達するとの見通しを示した。14年は119億ドル(約1兆3000億円)だった。
ロディウムグループは、中国企業による米国企業に対するM&Aが急速に拡大した背景には、昨年、中国株式市場の混乱で国内投資家が資産管理の多元化を図る狙いでより信頼感のある米国市場を選ぶことにしたことと、今後人民元が一段と下落するとの懸念があるからだ、と分析した。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、4月12日付)は、近年、中国政府が国内経済のけん引力を投資や不動産などから、サービスや消費へ方針転換したため、中国企業による途上国への投資が減り、米国や欧州などの先進国への投資ウェイトを増やした。しかし、イギリス、日本などの他の先進国と比べて中国企業の米国での投資はまだ少ないとの見解を示した。
WSJは、海外企業の米国企業に対するM&Aの審査と承認を行う対米外国投資委員会(CFIUS)や、他の監督当局が中国企業の投資拡大に警戒を強めていると報じた。CFIUSはM&A案件が米国国家安全保障を損なうかどうかを判断する機関だ。米国の一部議員は、CFIUSの審査範囲が金融関係インフラ設備のM&A案件まで拡大すべきだとの意見を挙げている。昨年、中国企業は創業134年のシカゴ証券取引所の買収に成功した。
一方、中国商務部の統計によると、2015年中国の対日本直接投資額(金融セクターを除く)は約2億1723万ドル(約237億6700万円)で、前年比で7%減少した。15年末までの対日直接投資残高が27億6000万ドル(約3020億円)にとどまっている。中国企業の対日投資が対米よりもはるかに少ないのは為替変動、日本国内経済状況、日米両国の外国企業投資を受け入れる体制や法的整備が違うほか、日中両政府の微妙な政治関係と歴史問題も影響しているとみられる。
(翻訳編集・張哲)
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