中国政府当局は深刻化する企業債務を減らすため、銀行の不良債権の株式化に関する具体的政策を4月中に発表するとみられる。4月4日付、国内「財新網」が伝えた。
報道によると、開発改革委員会(発改委)と財政部、銀監会などの政府機関はこれまで政策の実施について議論してきた。国家開発銀行の幹部は4月3日に財新網傘下『財新週刊』の取材に対して、「この政策は企業債務の対応策だ。現在企業債務問題が深刻で、数回に分けて実施する。第1回目の企業債務の株式化は約1兆元(約17兆円)規模で、約3年内で消化していく」と述べた。また第1回目の株式化の対象となる企業債務は不良債権ではない「関注型債務」だという。
中国人民銀行(中央銀行)は債務者の返済能力に応じて、債務を「正常」、「関注」、「次級」、「可疑」と「損失」の5段階評価を付け、最後の3段階評価は不良債権となる。
企業債務の株式化とは、企業の債務を株式に振り替え、債券銀行が債権者から企業の株主となる。これによって企業が銀行側に債務を返済する義務はなくなり、出資者である銀行側に株式の配当を渡すことになる。
一部のアナリストは同政策の実施で将来帳簿上では企業債務はなくなるが、ゾンビ企業などの企業業績が悪化し続ければ、逆に銀行側に大きな損失を被らせ、株式市場の不安材料になりうると分析する。
3月に造船大手の中国華栄能源は、1株あたり1.2香港ドルで最大171億800万株の新株を22の債権銀行などに対して発行した。これによって、同社の約172億香港ドル(約2408億円)の債務が帳消しとなった。最大の債権銀行である中国銀行が新株の約14%にあたる27億5000万株を引き受けた。
しかし、新株発行の1カ月間に華栄能源の株価は下がっている。8日、香港株式市場での同社株価終値が0.77香港ドルを付け、発行株価である1.2香港ドルから約36%安となった。現時点では、中国銀行はすでに約11億8250万香港ドル(約166億円)の損失を被った結果となっている。
香港金融評論家の江宗仁氏は6日、香港メディア「明報財経網」で、「もし、1兆元規模の債務株式化計画が全部華栄能源の株価のようになれば、本土の銀行が企業株主となった後、莫大な損失を抱えて危険な状況に置かれる」と指摘した。
過剰生産問題の深刻な中国の鋼鉄業、石炭業や造船業などの赤字企業が本質的な問題を解決しない限り、企業債務の株式化はただ不良債権の実態を隠し、問題解決を先送りする方法に過ぎず、銀行などの金融機関に新たなリスクをもたらすだけであるとみている。
(翻訳編集・張哲)
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