世界に流通するドローンの70%が中国深センで生産されたものとなっている。
深セン関税当局によると2015年、同市からのドローン輸出額は前年比7倍の30億9000万元(約600億円)となった。そのうち43%は香港経由で北米・欧州へ輸出され、18%は米国へ直輸入されている。
ドローンは最も成功した中国製ハイテク製品の一つといえる。サウス・チャイナ・モーニングポストによると、ドローンの世界売上高トップは米国。米国家電協会は、2016年の世界市場での一般向けドローン売上高は合計1.3億ドル(約150億円)と予想している。日経BPクリーンテック研究所の同市場予想では2030年に1000億円を超えるとした。
ドローン、中国国内需要も高まる
「世界のハイテク工場」として知られる深センでは、99パーセントのドローンが他国に輸出されている。一方、ここに本社を置く世界最大のドローンメーカー「DJI」は、現地の需要に応えるため、2015年12月に本社近くに専門店を開いた。
ドローンは中国で現在、報道、配達、農業、映画撮影、当局の取り締まりなどで活躍しており、国内需要も高まっている。Eコマース大手「京東商城」は、ドローンを使った無人配達の導入に着手している。同大手アリババも昨年、CMを使って、大都市なら「注文からわずか1時間で配達」とうたい、ドローンがふわふわと街の上空を飛び、茶葉の入ったケースを注文者宅へ運ぶ様子を映し出した。中国の輸送業者も、ドローン利用を試験している。
中国大手スマートフォン・メーカー「小米(xiaomi)」は、自社製品と接続して操作する低価格ドローン「Miドローン」を近日販売する予定。699元(約1万2000円)とリーズナブルで、2月24日に販売する新スマートフォン「Mi5」と同時に発売するのではないかと噂になっている。
深セン拠点のコンサル会社「前瞻産業研究院」は、中国本土のドローン市場は40億元と推定し、 軍用と民間あわせてのドローン市場は2022年までに約144億元に達すると予想している。
ドローン規制敷く中国当局
ドローンの需要が高まるなか、2015年8月、中国当局は「国家安全の脅威となる」として一部のタイプのドローンの輸出を禁止した。そのなかには高度1万5420メートルを1時間飛行することができるものもある。禁止令は、インド・パキスタン国境で中国製ドローンが撃ち落とされた2週間後に発せられた。
中国の空域は政府と軍により厳しく管理・制限されている。民間航空当局は、一般のドローン利用も同11月に取り締まるルールを発表した。中国では、軍事基地近くを飛行させたり、北京空港の離着陸を一時停止させたりするなどのドローンをめぐるトラブルが起きており、警察はこれらのドローン操縦者を逮捕した。
民間航空当局の規定では飛行高度12メートル以上、飛行距離500メートル以上、重さ7キログラム以上の無人飛行機を操作する場合、免許を保持する必要がある。しかし、中国の航空機所有者とパイロット協会(AOPA)によると、国内企業300社で働く職業ドローン操縦者1万人のうち、公認ライセンスを得ているものはわずか900人だという。操縦者訓練校の幹部は中国にっぽうの取材に対し「多くのドローンは違法に飛んでいる。事故を起こせば刑事告発される恐れがある」と警告した。
(翻訳編集・佐渡道代)