中国の実業家は最近、外国人から「中国はどのメディアが一番正しいか?」という質問を投げかけられたが、いまだに答えられないことを、自身のミニブログ・微博に明かした。この発言は、ネットで話題となり、報道のあり方について、有識者を巻き込んで議論に発展した。
中国国内では当局のメディア検閲と規制が厳しく、報道の自由にたいする侵害は強い。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の「報道の自由度ランキング2015」によると、対象となった180の国・地域のなかで、中国は176位だった。
中国不動産大手「SOHO中国」の潘石屹会長は、冒頭の外国人の問いに「回答に困っている」と微博につぶやいた。潘会長は、微博で1734万人のファンを抱える、社会的影響力の大きい人物。
潘会長のファンのなかには有識者も多い。この質問をきっかけに、中国メディアのあり方について相次いで意見した。人民大学教授の張鳴氏は「人民日報いわく、60年間、でたらめは一つも書かなかった」と皮肉たっぷりに述べ、ユーザーから笑いを誘った。メディア関係者・章文氏も「バカだな、環球時報の海外批判は正確無比だろう」と茶々を入れた。
共産党の宣伝が多く、信頼度の低い中国メディアに、ネット利用者の声からは失望感が伝わる。いっぽうで、ブログなど個人メディアの分析や見解に、期待が集まっている。
上海の翁広宗弁護士「中国に記者はいない。代弁者しかいない」。
建築士「中国には世界の記者クラブに認められたメディアは一つもない。あるのは伝達の道具だけ」。
陕西省のユーザー「中国メディアが報道したことはメディア自身の関係者も信じていない。現状はどうにもならない」。
山東省のユーザー「外国人はお見通しだ」。
広州のユーザー「本当のことを話せるのは、個人メディアしかない」。
中国共産党は権力を維持するため「ペン」と「銃」を使い分けてきた。嘘で国民を扇動し、武力で反体制派を鎮圧する。
米国ニューヨーク大学で長年、中国の政治経済について研究してきた夏明教授は、大紀元の取材に対して、共産党の弱体化と市民意識の明確化について述べた。「近年、国民意識が目覚めてきており、多くの中国人は共産党の本質に気づいている。官製メディアを信用する者はほとんどいない。また多くのネット利用者は、共産党をおおやけに糾弾し、その力はますます大きくなっている。共産党勢力は昔と違ってかなり弱まっている」。
(翻訳編集・山本アキ)
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