養豚場から数万トンの化学廃棄物 ガン増加とも関連か

2015/10/17
更新: 2015/10/17

 江蘇省靖江市侯河村の養豚場の地下に、数万トンもの廃棄物が埋められ、ながらく土壌や水資源を汚染していたことが明らかになった。ネットに告発した関係者の話を北京青年報が3日、伝えた。村では、ガン患者が増加しているという。

 同紙によると、養豚場が建つ前は、農薬メーカーからの廃棄物を処理する石油化学工場があり、不法に廃棄物を敷地内に埋めていたという。この工場は2011年に閉鎖し、翌年、養豚場に変わった。

 工場が請け負った廃棄物は十数年間で1.4万トン以上。侯河村では、ガンで亡くなる人が増加しているという。石油化学工場の工場長であった唐満華氏も、鼻のガンで2014年に死亡した。

 石油を染み込ませたような、真っ黒な土

 土壌汚染について、雲南省のビジネスマン・周建剛さんが9月25日にネットに明かした。周さんは2014年、この養豚場を買収した。物流倉庫に改築する予定だった。2015年3月、作業員と現場を視察した10日後、全身の皮膚に潰瘍やかゆみ、皮膚の硬くなるなどの症状が現れた。

 同4月、養豚場の地下を詳しく調べるため、コンクリート床を掘ると、強烈な農薬の悪臭と、石油を染み込ませたような真っ黒な土が、深さ2メートルまで埋まっていたという。

 瀋陽化工大学の李慶禄教授は、有毒物質は地下水や地表の水を通じて土壌を汚染していくため、周辺の農作物は食べられないものだと、同紙の取材に答えた。

 靖江市政府は、養豚場から有害物質が検出されたことを認めたものの、農薬メーカーとの関連を否定した。

 中国の土壌汚染の深刻化

 中国の各地方政府は、GDP向上の為、開発を優先し、自然環境を考慮していない。そのため耕地の減少や土地の重金属汚染、砂漠化が起こり、食糧危機問題に拍車をかけている。

 2014年4月に発表された「第一回全中国大陸土壌汚染調査」によると、約2割の耕地が安全基準値を超えた。8年前の調査より133%増加した。また中国の三分の一の都市は、ゴミに包囲されている。砂漠化の土地面積は、262万3700平方キロメートルと、国土の27%を占め、砂地の面積は173万1100平方キロメートルと、国土の18%に達する。

 中国工学院院士、華南農業大学の羅錫文・副学長によると、中国は2000万ヘクタールの耕地がカドミウム、ヒ素、クロム、鉛などの重金属によって汚染されている。これは国土の六分の一の面積であり、毎年、土壌汚染により1000トンの食糧が減産しているという。

 環境保護部の周生賢部長によると、この10年で中国の環境はひどく悪化し、水資源、土壌以外にも、大気汚染も深刻になっている。北京・天津・河北省などはチリとホコリが舞い続け、どんよりした天気が続いている。環境問題は二次災害を誘発し、これからも増加すると、周部長は予想している。

(翻訳編集・山本アキ)

 

 

関連特集: