食糧生産量は毎年、記録を更新しているが、14億人の腹を満たすまでには至っていない食の消費大国・中国。ドイツの有力紙ディ・ヴェルト(Die Welt)は3日、「北京は国民にジャガイモを食べるよう呼びかけた」と題する記事で、中国当局が食糧問題を解決するために打ち出した新たな対策について伝えた。
食糧危機を解決するために、中国政府はコメや小麦、トウモロコシという既存の主要作物以外の選択肢を見つけることが迫られている。今年初めから、政府はジャガイモの栽培を戦略的・重点的に取り組む計画を推進している。5月に発表した農業継続発展に関する計画書(2015~30年)には、ジャガイモ生産は国の北西部、南西部、青海省やチベット自治区でも推進されると記されている。
北京郊外の延慶では7月28日から30日まで、世界36カ国196の出展者が集う「世界ジャガイモ会議」が開催された。ジャガイモに関する情報サイト、ポテト・ビジネスによると「中国の関心は高く、出席した900人以上の専門家、政府関係者のうち3分の2が中国人」だったという。会場のいたるところでは、「ジャガイモを野菜料理から主食に」のスローガンが掲げられていた。
ディ・ヴェルト紙が伝えた政府農業部高官の話によると、中国の穀物生産量は11年連続で増加し、2014年は6・07億トンという記録的な数字に達したにもかかわらず、20年には食糧需給が更に増加し、穀物5000万トンを増産する必要がある。しかし、中国では灌漑や環境・土壌の汚染で、コメや小麦、トウモロコシの増産は見込めないという。中国のジャガイモ専門家チャン・アイゴウ氏は「中国の食習慣は革命の真っ只中にある」と同紙に述べた。
ジャガイモの生産について「暗闇を照らす光」と希望を抱いている。中国ではジャガイモの作付面積は560万ヘクタールで、2014年の収穫量は9500万トンに達し、世界一位となった。
しかし、中国のヘクタール当たりの収穫量は欧米の3分の1程度にとどまり、品質も欧米と比べて劣る。北京政府は現在、ジャガイモ生産の拡大を可能にするため、数十億元を投入し、品種改良などの技術支援を行っている。
ディ・ヴェルト紙は最後に「中国の食糧の安全問題と絶対的権力を持つことは、共産党政権にとって高度な政治問題であり、株式市場の大暴落よりも重要だ」と指摘している。
(翻訳編集・王君宜)
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