中国北西部の新疆ウイグル自治区の複数の裁判所は、このほどテロ組織支援や国外逃亡幇助などの罪で45人に終身禁錮刑などの判決を言い渡した。中国政府系メディアが伝えた。
国営新華社通信8月27日の報道によると、自治区内各地の裁判所は「テロ組織を結成、主導、参加した罪」「他人の不法出国(国境脱出)を幇助した罪」で10案件の被告45人に対し、2人を終身禁錮刑、43人を4~15年の有期禁錮刑に処した。そのうちの5人は、トラックでタジキスタンに出国、同国とアフガニスタンの国境地帯で現地警察に逮捕され、中国に強制送還された。検察当局はその容疑について、タリバンなどのテロ組織に加入しようとしたとしている。
全員の民族は明らかにされていないが、その名前からウイグル人である可能性が高い。新華社の報道は、被告人らが容疑を認めたかについて触れていない。
中国政府は長年来、国外脱出を図るウイグル人を厳しく取り締まってきた。通常、脱出者は新疆と隣接する東南アジアや中央アジアの国々を経由して、トルコを目指す。今年7月、タイ政府は100人余りのウイグル人を中国に強制送還した。
在外ウイグル人の組織「世界ウイグル会議」(本部:ミュンヘン) のスポークスマンは、このほどニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、次のように述べた。「中国から逃げ出そうとするウイグル人は増え続けている。彼らは(中国政府が言っている)テロリストではない。安全な地で生活することを望んている人々だ」
住民の45%はウイグル人、41%が漢民族である同自治区では近年、ウイグル人による抗議や襲撃事件が多発。その武器の大半はナイフや粗悪な手製爆発物だが、ほとんどの場合、中国政府は「外国勢力が裏で主導するテロ襲撃」と発表している。一方、国際人権団体や海外のウイグル関連組織は、中国政府によるウイグル人への民族抑圧、特にその文化と宗教信仰に対する厳しい制限は暴力行為多発の根本的な原因、などと中国政府を批判している。
(翻訳編集・叶子)
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