【大紀元日本6月19日】中国政府が支持する香港行政長官選挙の制度改革法案は18日の香港議会で否決されたが、採決直前に親中派議員が集団退場し、採決に参加しなかったことが話題を呼び、「アクシデントだ」と主張する親中派に「事前の計画だ」と民主派は容赦しなかった。
当日、採決5分前のベル通知後、親中派側は議長に15分間の休会を要請して却下され、大勢の親中派議員が議場を出た。残った議員数は採決に必要な法定基準最低人数に達したため、採決は予定通りに行われ、「28人反対、8人賛成、1人棄権」という結果で法案は否決された。
香港の法律では、いかなる法案の可決にも3分の2以上の賛成が必要。行政長官選挙への民主派の立候補を事実上不可能にする同法案は、当初から民主派議員に反対されていた。その人数は議員総数の3分の1を超えるため、法案の否決は事前に予想されていたが、親中派の集団採決不参加という意外な展開に話題が集まった。
親中派議員側は休会の要求について「体調不良で採決に遅れた1人の議員を待つため」とし、「大勢が一斉に退場したのは、最低必要人数が足りないことで採決を遅らせるためだったが、意思疎通が足りず裏目に出ることになった」と説明した。それに対し、民主派議員は「アクシデントではなく、事前に計画された『採決不参加』だ」と容赦なかった。
ネット上では、「建制派(親中派)には『智将(智慧がある将官)』が多い」「最初から投票しないつもりだった」との意見が大勢だ。
香港で有名な俳優・黄秋生氏はフエイスブックで、「建制派議員は一団となって政府をバカにした…、やり方は非常にユーモアだ」と拍手喝采を送った。
昨年秋の民主化デモ「雨傘運動」を率いた学生団体の一つ「学民思潮」はHPで「勝負はまだついていない。法案の否決は祝えるほどのことではない」と今後も「真の普通選挙」を求めることを表明した。
中国全人代は法案否決直後に「今後も、香港長官選挙制度は、依然として全人代の決定に準じるほかない」と民主派に譲らない姿勢を強調した。同決定は香港トップである行政長官の選挙について、有権者一人一票の「普通選挙」を約束しながら、選挙立候補者は親中派中心の指名委員会が決めると定めた。それにより、事実上、民主派は立候補すらできなくなる。
香港市民が長年民主国家同様の「真の普通選挙」を求めてきたが、実現までにはまだ前途多難のようだ。
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