【大紀元日本8月14日】7日に刑期終了で釈放された中国の著名な人権弁護士・高智晟氏は依然として当局の監視下に置かれている。頭脳明晰で雄弁だった同氏の言語・思考能力は著しく衰えているという。
出所後の高氏は、自宅のある北京市に戻ることを当局に許可してもらえず、いまは新疆ウイグル自治区の妻の親戚の家に身を寄せている。当局による監視体制が敷かれており、訪ねてくる親族、弁護士、記者はみな訊問を受けるという。詳しい状況は不明。
2004年から、数回にわたり最高指導部に嘆願書を提出し、伝統的な気功・法輪功への弾圧の違法性を訴え、弾圧の停止を求めていた同弁護士は2006年年末、「国家政権転覆扇動罪」で懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。そして7日、同氏は刑期を終え新疆ウイグル自治区の刑務所・沙雅監獄を出所した。
高氏は執行猶予期間中の身柄拘束を含め、計5年間収容施設で過ごした。当局からの監視・嫌がらせから逃れるため、2009年に2人のこどもを連れて出国し、米国に難民として保護された妻の耿和氏は12日、「心身共に健康状況は非常に芳しくない」とツィッターで夫の近況を報告した。
「私たちの通話中に電話が切れてしまい、私がかけ直し、『先ほどはどこまで話したの』と聞くと、『知らない』という言葉が返ってきた。『電話はなぜ切れたの』と問うと、またもや『知らない』だった」(耿和氏)
「身長1.78メートル、77~80キロだった夫の体重は今や62.5キロ」(耿和氏)
父親との会話を楽しみしていた長男(11歳)は通話後、「お父さんはなぜうまくしゃべれなくなったの」とひどく落胆したという。
高氏の世話をしている耿和氏の姉の話によると、「高氏は服役中、毎日真っ黒な独房に閉じ込められ、一日の食事は饅頭ひとつと野菜炒め一品だった」という。
執行猶予期間中にいくども身柄を拘束された高氏は2007年、その際に受けた拷問の実態を「暗い夜、黒い覆面、暗黒勢力による拉致」と題する文章にまとめてインターネットで公開した。AP通信は2011年1月、取材時の高氏の証言として、同氏が刑務所で受けたリンチ・拷問の内容を報じた。拷問を実施した警官は同氏に、「自分が人間であることを忘れろ。お前は畜生に過ぎないのだ」「我々はいつでもお前を消したいときに消すことができる」と暴言を吐いたという。
国境なき記者団は11日に発表した声明文で、情報筋の証言として、「中国当局は永久的に高氏を監視するつもりだ」と伝えた。
BBC中国語電子版の14日の報道によると、中国の人権活動家と政権異見者を支援する米国人弁護士ジャレド・ゲンサー(Jared Gensher)氏は高氏について、「完全に壊されている。無口で片言しか使えず、通常の会話は困難だ。多くの場合は独り言をつぶやいている」と述べた。あの自信満々で精力的に活動していた高氏からは想像もつかない姿だ。
高氏の件で、大紀元時報の取材を受けた米国下院元議長のナンシー・ペロシ民主党下院議員は「高智晟は自由を得ていない現状をしっかりと把握できている」と述べ、「今後は事態の発展を注意深く見守り、同氏の問題を優先事項として対応していく」と支援の姿勢を示した。
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