【大紀元日本6月30日】中国共産党中央規律検査委員会が27日、 広東省共産党委員会の常務委員、広州市共産党委員会のトップ万慶良について、「厳重な紀律・法律違反があった」としてその取り調べを発表した。複数の中国政府系主力メディアが報道でその黒幕の存在を示唆するなど、今後の展開が注目される。
万慶良は今年に入って失脚した15人目の省クラスの高官だ。習近平政権の発足後、取り締まりにあった同省内で最高位の高官でもある。
翌28日、共産党の機関紙人民日報の電子版や国営新華社通信の電子版を含む複数の主力メディアは、これまでに度々調査の対象となった万が、いつも無傷で難を逃れたという経緯を取り上げ、彼を守る勢力の存在をほのめかした。人民日報電子版のブログ記事は「懸命に万慶良を守っているのはどういう人物たちなのか、その動機はなんであるのか」などと疑問を投げかけた。
地元意識が強い広東省では、現地出身の幹部からなる派閥「客家派」が存在する、その一方で、1998年から江沢民派メンバーの李長春と張徳江が交代で10年近く広東省のトップを務めた。こうした状況の中、「客家派」のメンバーが相つぎ江沢民派に組み込まれた。万も組み込まれたうちのひとりで、江沢民派の重鎮である元国家副主席の曾慶紅や中央政法委の元トップ周永康らと親密な関係を構築した。そのおかげで、2008年に44歳の若さで広東省副省長に大抜擢され、2年後の2010年には広州市長に就任、「史上最年少の広州市長」と讃えられた。
一部国内メディアの報道によると、同省のトップ、省共産党委員会の胡春華書記は就任後、客家派と江沢民派が癒着する省内の幹部汚職問題は予想以上に根深いことに驚き、最高指導部に対して再度にわたり助け舟を要請していた。後に中央査察チームの報告を受けた習主席は、問題解決への取り組みを命じたという。
同省の汪洋前書記も在任中に江沢民派の排除に力を入れたが、複雑な利権関係により難航したとの情報もある。
今回の万の失脚は、胡春華書記と習体制が連携して、省内における両派の勢力を粛清する序幕となる見方がある。