【大紀元日本4月25日】賢明な投資家たちが中国の不動産市場から撤退を急いでいる。経済成長の鈍化で、不動産市場は需要の低迷や利益率の低下などの問題に直面している。
今月上旬、香港の世界的富豪・李嘉誠氏の次男、沢楷氏率いる企業が、北京のショッピングエリア三里屯に保有していた複合ビルを9億2800万ドル(約950億円)で売却した。李嘉誠氏も昨年8月以来、広州や上海に所有していた少なくとも4つの大型物件を次々売却した。その合計売却額は約2650億円に上ると言われている。
李氏は米フォーブス誌の世界富豪ランキグでアジア人最上位。1990年代から中国本土への投資を拡大してきたが、このほどの北京のビル売却で、李氏親子が本土で保有している不動産はほぼゼロになった。李氏が本土物件の売却を急いだのは、中国の不動産バブルの崩壊を見越したからだとの見方が大勢だ。
李氏親子以外に、北京と上海で不動産開発を手掛けるSOHO中国社も2月、8億3700万ドル(約850億円)で上海の商業ビル2つを売却した。
米不動産投資会社MGIパシフィックのコリン・ボガー氏はこの流れについて、「現在のところ、賢明な選択のように思われる」とウォール・ストリート・ジャーナルの取材にコメントした。
中国経済の成長が鈍化している背景で、不動産市場は需要の低迷や収益率の低下、競争激化などの問題に直面している。ビルの賃料が伸び悩み、北京と上海では商業ビル投資の年間リターンが1年前を下回っているという。
米不動産コンサルタントのジョーンズ・ラング・ラサールによると、今年1~3月期の中国商業不動産市場への投資は30億ドルで、前年同期比18%減少した。57%減少した2012年10~12月垣xun_ネ降で最大の減少幅だ。
1~3月期の中国の住宅販売額も7.7%減の1兆1100億元(約18兆円)に落ち込み、新規着工面積は25%と大幅減に見舞われた。2月から杭州市や広州市、江蘇省常州市などではマンションの値下げ販売が相次ぎ、不動産市況の低迷が鮮明になっている。