【大紀元日本11月28日】中国政府にとって予想外の展開か。勇ましく上げた拳を、頭を掻くふりをしてごまかそうとしているようだ。米空軍のB52戦略爆撃機が、中国が設定したばかりの防空識別圏を通報なしに飛行したことについて、中国側は強気の姿勢をかろうじて保ちつつ、事態を曖昧にしている。
米国や日本メディアが米軍機について「中国が尖閣諸島を含む東シナ海上空に設定した防空識別圏」を飛行したことを明確に伝えているのに対し、中国国防省の耿雁生報道官は27日、米軍機が中国の防空識別圏の「東部の端を沿って」南北に往復したと強調した。この「東部の端」は「境界線」を意味し、識別圏内を飛行したかどうかを明言していない。
外務省の秦剛報道官も「防空識別圏の空域を管轄する能力がある」としつつも、「各方面が積極的に協力し、共同で飛行の安全を保障するよう期待する」とこれまでのトーンを一段下げている。
中国軍の将校も2日間のうちに発言を一変させている。国防大学の教授で空軍少将の喬良氏は26日、中国側が、防空識別圏に侵入した不審機について「警告に従わない場合、実弾で攻撃する可能性もある」と主張した(京華時報)が、28日には、識別圏は「黄色信号」に過ぎず、警告しても応答がない場合は「どうしようもない」「実弾攻撃なんて声高らかに言うのはおかしい」と自身の2日前の発言がなかったかのように強弁を張った(環球時報)。
一方、中国国防省は、米軍機が識別圏「東端で」の飛行を26日午前11時(日本時間正午)から午後1時22分(同2時22分)までの2時間22分としているが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは識別圏を飛行したのは「米国東部時間の25日午後7時から約1時間(日本時間26日午前9時)」と開始時間に3時間のズレがあり、飛行時間も大きく食い違った。
これについて中国のネットユーザーは「本当に監視できたのか」と食い込んだ。米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)も専門家の見方として、中国が宣言している飛行制限措置を実行するためのレーダーなどの対応能力はないと指摘した。
中国政府の微妙な立ち位置の変化にユーザーらは敏感に察知している。
「子供の時のことを思い出した。友達と喧嘩して、自分の家の前に『入っちゃダメ』の線を書いたら、大人は見向きもせず、その上をまたいて通って行った」
「我らの外務省は面の皮が厚いとは言え、このビンタは力強いな」
「なんだよ、アメリカ。識別圏なんて国内に見せるためだけのものだよ。真剣になっちゃって」
「羅援少将(好戦的発言で有名な強硬派)とかは何をしてる?口で爆撃機を攻撃しようよ」
「以前張少将(張召忠国防大学教授)が黄海は昆布を養殖しているから、アメリカの潜水艦が入ってこれないって言ったことは良いヒントだ。防空識別圏のなかで凧揚げすればいいんだ。風船でもいい!そうしたらB52は入ってこれない!」
「警告します。微博(ミニブログ)敏感ワード識別圏に入った」(中国のネット検閲を揶揄)
「上げた拳をどう下ろすのか。世界が見ている」
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