【大紀元日本11月7日】山西省の省都太原市にある同省共産党委員会ビル前で6日、連続爆発事件があり、1人が死亡、8人が重軽傷を負った。同省には、共産党員の腐敗を取り締まる党中央規律検査委員会の調査チームが視察に入ったばかりで、爆発は炭鉱などで利権を得ている者が仕組んだものである可能性も出ている。
香港の中国系紙大公報(電子版)は6日、容疑者1人が治安当局に拘束されたと伝えたが、当局の発表はまだない。中国の有力紙・第一財経日報は同日の報道で、事件のタイミングに注目すべきと指摘し「中央第六調査チームが2ヶ月間の予定で、10月31日に山西省視察を始めたばかり」と明らかにした。しかし7日現在、この報道は取下げられている。
党中央規律検査委員会は10月下旬から、山西省のほかに、商務部や新華社、国土資源部、三峡集団など10の機関や省党委に調査チームを派遣している。検査委員会の調査はこれまでも、地方幹部や既得権益層からの抵抗や脅迫を受けている。中国誌・環球人物は6月、委員会メンバーが受け取った脅迫状の内容を明らかにしていた。「ここにはお前の出番はない。遊んで帰れ。ここに居続けるなら覚悟をしとけ」。身の安全はメンバーらが直面する大きな問題だと指摘した。
検査委員会は5月にも5つの省と水利部、中国儲備糧管理総公司(中儲糧)などを査察した。その時も、中儲糧に入った4日後、中儲糧直属の黒竜江省林甸倉庫で火災が発生した。当時、新華社を含むメディア各社は、火災は備蓄量をごまかし、不正を隠そうとする工作ではないかと不審視していた。
今回、爆発事件が起きた山西省は中国の石炭の有数の生産地。炭鉱開発やそれに伴うインフラ整備などをめぐり、大きな利権が動いてきた。こういった利権に検査委員会のメスが入る直前に、爆発事件が起きたことに疑いの目が向けられている。
現政権が推し進める反腐敗運動に対し、すでに権益を手中に収めている集団・派閥の抵抗は激しい。社会不安を煽り、国内外の世論をけん引することで、政権の政策策定と執行に影響を与え、自らの既得権益を維持することは抵抗勢力の狙いだとの見方がある。反腐敗で求心力を立て直しつつ、抵抗勢力を抑えこもうとする現政権は、極めて困難な局面を迎えている。
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