【大紀元日本10月24日】民主化と自由に取り組む米国のNGOフリーダムハウスは新たな報告書を発表し、中国政府は自国のメディアを厳しく規制しているだけでなく、海外のメディアへも触手を伸ばしている状況を報告した。米ビジネスサイトQuartzが22日報じた。
同報道によれば、中国政府は過去3年間、世界各国で自国のソフトパワーをアピールしてきた。政府系英字紙チャイナ・デイリーは、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなどの欧米主要紙に折り込まれていた。中央テレビCCTVはワシントン支社で数十人の米国人ベテラン記者を登用し、アルジャジーラのアメリカ支社などと競合している。
中国政府系メディアはまた、中国に特派員を派遣できない南米やアフリカ、アジアの一部の国に、無料で社説を提供している。それによって、台湾や香港、海外の華人居住地域の中国語メディアも潜在的に影響を受けている。
中国は南米やアフリカの政府系メディアを対象に資金援助も行っている。記者を渡中させトレーニングを受けさせる。南米のボリビアやベネズエラは中国から通信衛星の提供も受けている。ベトナムやカンボジアは、自国の北京批判のメディアに圧力を掛けているとも報告書は指摘した。
もっとも中国政府の影響を受けているのは海外の中国語メディアだという。香港の明報、星島日報、成報などの有力紙は、大陸に業務の中心を置く富豪の手中に収められており、これらの富豪は「政府幹部と密接な関係にある」。少なくとも10社の香港メディアのトップは中国の国政諮問機関・全国人民政治協商会議の委員を務めている。同報告書によると、北京批判を依然展開している蘋果日報(アップルデイリー)などは、大手不動産が広告の掲載を拒否するなどの逆風にさらされている。台湾を代表するメディアグループ・中時集団は2009年、大陸でビジネスを展開する食品大手・旺旺集団の傘下に入り、中国寄りの論調が増えている。
香港や台湾以外の地域に居住している華人が目にする中国語メディアも多くは中国政府の影響を受けている。中国と貿易関係のある企業は、北京批判のメディアに広告を出すことに尻込みしていると同報告。「中国政府はほのめかしているのだ。もしそうすれば(広告を出せば)、中国との業務に影響が出る、と」。シドニー工科大学中国研究センターの馮崇義教授は「オーストラリアにいても、中国系住民は中国政府の論調に取り囲まれている」と話した。
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