【大紀元日本6月3日】中国で実入りのよい臓器移植業界は、どこから臓器を入手しているのだろうか。『国絡みの臓器移植:中国での臓器濫用(仮訳)』(State Organs: Transplant Abuse in China)は、この質問の回答に挑んだ一冊だ。
カナダの人権弁護士デイビッド・マタス氏と「強制的臓器摘出に反対する医師団(DAFOH: Doctors Against Forced Organ Harvesting)のトルスタン・トレイ博士が編纂した『国絡みの臓器移植』は、 中国の囚人から不法に強制臓器摘出が行われている事実に焦点をあてた医師など専門家による論文集だ。
昨年7月に発刊されて以来、中国の臓器摘出問題を喚起するため、いくつかの発刊記念イベントが行われてきた。昨年10月にはカナダのバンクーバー、11月にはオーストラリアの北サウスウェールズ議会などで催され、今年6月4日にはカナダのブリティッシュ・コロンビア州ヴィクトリアでも予定されている。
中国には、国が定める臓器提供制度はない。そのため臓器移植手術用の臓器提供元は「死刑囚」であると中国当局は公式の場で説明している。
しかしトレイ博士は、数万人の法輪功学習者が収容されている刑務所が「本人の同意のない、生きた臓器提供バンクになっている」と指摘する。中国共産党は1999年7月、法輪功を非合法とし迫害を始め、不当に学習者を投獄し続けている。
「血液型と生体組織が臓器を求める患者のものと一致すれば、法輪功学習者は臓器を摘出され殺害される」とトレイ博士の論文『移植医学の交差点』は解説する。
マタス氏の推計によると、1万件の臓器移植手術のうち親族からの臓器提供はわずか500件。8000件が不当に投獄された法輪功学習者、1000人が死刑囚、500件はウイグル人、チベット人、全能神の信者※。中国当局による提供元の数に関する発表はない。
2006年3月、中国の軍医、病院職員、ジャーナリストが「数千人の法輪功学習者が中国全土の強制労働所や病院で、臓器を摘出されるために殺害されている」ことを暴露したため、法輪功学習者を対象とした強制的な臓器摘出が初めて公に知られることとなった。
同年マタス氏は、独立調査団を設立し、拘束された法輪功学習者からの「臓器狩り」が中国全土の広範囲に渡っていることを明らかにした報告書を共著で発表した。 2000年から2005年にかけて行われた4万1500件の臓器移植は、法輪功学習者から強制的に摘出された臓器を利用したものと同報告書は結論付けている。
11の論文から構成された『国絡みの臓器移植』は、強制的な臓器摘出の存在を裏付ける事実、統計、証言を明らかにし、臓器摘出のために囚人を殺害することは基本的な医療倫理に違反すると避難している。
また同著は「臓器狩り」に終止符を打つためにどのように現状と戦い、変化させるかについて、その洞察を読者に提供している。
「医療倫理の実践に懸念を抱く人は、この本を読んで、寒気を覚えるとともに、勇気づけられるだろう。中国で、良心的な囚人を含む大量の囚人が臓器を奪取され殺されているという事実に寒気を覚えると同時に、医療分野のリーダーたちが、この濫用と闘うために立ち上がっているという事実に勇気づけられる」とマタス氏はプレスリリースで述べる。
※注 別名は東方閃電。中国のキリスト教系新興宗教。
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