【大紀元日本3月19日】新旧の指導部がそろって出席した17日の全国人民代表大会(全人代)の閉幕式に中央軍事委員会の徐才厚前副主席の姿がなかった。新指導部の門出を意味する重要な場だけに、軍首脳の欠席は憶測を呼んでいる。
全人代の開幕式にも欠席した同副主席について、香港紙・明報は18日付の記事で、現在、調査を受けていると報じた。2012年1月に失脚した総後勤部の谷俊山前副部長(中将)の汚職事件に巻き込まれたという。別の海外華字ニュースサイトも軍情報筋の話として、同副主席は14日から行動を制限されていると伝えた。
谷前副部長は不動産開発業者の弟と共謀し、軍の土地収用で1億元(当時約12億円)の不当収入を得ていたため、2012年1月に失脚した。同副部長への調査は故劉少奇国家主席の子息で、習近平国家主席に近いといわれる同部の劉源政治委員(上将)が指示した。
共産党機関紙人民日報傘下の政論紙・環球時報は16日、退役した張西南元少将からの寄稿記事を掲載し、「公然と命令に従わない軍幹部がいる」、「軍紀よりも個人の利益が重んじられている」と述べ、軍の腐敗が幹部に及んでいることを批判した。
人民日報も15日、国防大学の劉亜洲政治委員の文章を掲載し、「物欲ばかりに走る軍幹部がいる」と軍指導部に問題があることを指摘した。劉政治委員は習近平国家出席の側近と言われ、同主席の意向を汲んでの発言とみられている。
一連の発言は軍の腐敗にメスを入れるための世論作りの可能性が高い。
一方、米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は12日付の記事で、谷前副部長への調査は軍上層部からの強い抵抗に遭っているため、調査は難航していると報じた。徐前副主席は谷前副部長の後ろ盾と言われ、ともに江沢民派の人物と目されている。
谷前副部長を足がかりに、軍にいる同派の重要幹部を追究することによって、習主席は国民に腐敗取り締まりの姿勢をアピールすると同時に、軍での基盤を固める狙いがあるものと思われる。
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