ウイグル人警察官も臓器奪取の実態を証言する、本写真は別人(AFP)
【大紀元日本12月5日】北京で長年ビジネスコンサルティングに携わり、『失去新中国(新中国を失う)』の著者イーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)は今年9月12日、米国下院外交委員会で開かれた「中国共産党が宗教信仰者と政治異見者の臓器を摘出」というテーマの公聴会で、証人として陳述を行った。同氏は昨年12月5日付の米保守系政治週刊誌The Weekly Standardにおいても、中国の臓器狩りの実態を詳細に暴露している。以下はその全文の和訳の第二部である。
第二部 ウイグル人警官の証言:地獄からの悲鳴
過去2年半において、私が接したウイグル人、警官、医者、警備員らは、家族あるいは将来へのマイナスな影響を恐れながらも、通訳を通して私に断片的な情報を話した。自分の仕事、家族ひいては命も脅かされるのを覚悟の上だった。彼らの証言はある罪悪なプロセスを曝した。生きた人間の臓器を奪取して巨額な利益を得るということだけではなく、広範にわたって存在する罪悪・暴行の根源をも暴露した。
新疆ウイグル自治区はかねてから、共産党政府の隠された実験拠点とされてきた。1960年代、ロプノール(羅布泊)周辺地域は核実験場として使われたため、ウルムチ市のガン患者数が急増した。近年、タリム砂漠地域に強制労働収容所も作られ、その規模はおそらく世界最大であろう。推算ではウイグル人や反体制派、法輪功学習者など約5万人が収監できる。生きた政治犯からの臓器奪取の案例に関して、新疆はまさに発祥地と拠点である。
1989年、20歳過ぎたばかりの二ジャート・アフドルイムさんは警察学校を卒業し、ウルムチ市公安局第一分局に配属された。公安の主要任務は可能な限り共産党への脅威を根絶させること。漢族が多数を占める公安機関では、ニジャートさんは最初に加入できた数人のウイグル人の1人だった。彼の任務はウイグル人、特に重要人物のウイグル人への取調べで、「優しい警官」に扮すること。私が初めて二ジャートさんに会ったのはローマ郊外の狭い難民キャンプだった。痩せ細った彼は意気消沈し、警戒心が強かった。
ニジャートさんは当時のことを話してくれた。(公安局では)漢族警官の同僚が常に自分を監視していると分かっていたため、彼らが好む、素朴な笑顔を絶やさない仲間を演じていたという。そして、1994年、二ジャートさんは政府の各種秘密施設に出入りできるようになった。例えば、拘置所、拷問室、処刑所など。その間、彼は拷問、死刑、輪姦などを目の当たりにした。ある時、処刑所から戻った漢族の同僚が、非常に落胆した表情を見せていた。好奇心で彼はこの同僚に理由を聞いた。同僚の話によると、通常では、処刑後、用なしの遺体を掘った大穴に蹴り落とし、用のある遺体を現場で待機している臓器摘出のワゴン車に運ぶという。しかし、その日、この漢族警官は車の中から騒ぐ声を聞いた。「人間の悲鳴のような声だった」
二ジャートさんは同僚に聞いた。「まだ生きていたの?どんな叫び声だった?」
「地獄からの悲鳴だった」
二ジャートさんはまったく驚かなかった。もうここではずさんなやり方を散々みてきたからだという。
数カ月後、3人の死刑囚を拘置所から処刑所に運ぶ二ジャートさんは、その中の1人の若者と仲良くなった。彼は途中で二ジャートさんに聞いてきた。「なぜ私に注射を打ったのか」と。
注射は二ジャートさんではなく、同行していた医務主任が打っていた。二ジャートさんは嘘をついた。「あなたが銃弾を食らったとき、痛く感じさせないためだ」
その言葉を聞いた若者は弱々しい笑顔を見せた。その表情は一生忘れることが出来ないと、当時の二ジャートさんは思った。処刑後、彼は医務主任に尋ねた。「なぜ注射を打ったか」
「二ジャートさん、もしほかの部門に転属できるならば、早くそうしたほうがいい」
「これはどういう意味?先生、いったいどういう注射をしたの」
「二ジャートさん、あなたは信仰を持っているか」
「持っている。あなたはどう?」
「あれは血液の凝固を防ぐ薬。二ジャートさん、我々は皆地獄に落ちるかもしれない」
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