<赤龍解体記>(84)日本への「罵詈雑言の月餅」大売れ 中秋節に憎しみ印字 

2012/09/24
更新: 2012/09/24

反日文字が入った愛国月餅(ネット写真)

【大紀元日本9月24日】9月30日は、中国の伝統節句・中秋節である。中国では一家だんらんで月餅を食べるのが定番の過ごし方だ。しかし、今年の月餅は反日の流れに乗り、広西省のある洋菓子屋が反日月餅を販売し、話題になりつつも悪評を招いている。

その反日月餅はネットで販売されている。一箱に四個の月餅が入り、その表にそれぞれ「小日本を恨む」(「小日本」は、日本・日本人の蔑称)「小日本を打倒せよ」「小日本を噛み殺せ」「小日本を追い出せ」などの文言が刻まれているとして、話題になった。

「金泉小侠」と名乗る中国のネットコンサルタントが、広西省武鳴県の「老船長洋菓子屋」が月餅に前記の文字が刻まれている特色ある四種類の「愛国月餅」を生産販売していることをネットで宣伝した。生産販売している、「老船長洋菓子屋」の店長によると、この「愛国月餅」は9月17日から販売しはじめ、価額は一個6.5元から16元。現時点では千五百キロほど販売し、注文電話が全国からかかってきており、これほど売れるとは思わなかった、という。

このショー化した「反日月餅」に対し、中国のドキュメンタリー映画監督で「有名な公民記者」と呼ばれる張世氏は、「この変態月餅は、変態愛国賊」にもっぱら供給するものと指摘し、ネットユーザー「芒果你個黄檸檬」は、「われわれは武力行使をしないが、文的な暴力はよりきつい」と批判した。「楽天女」と名乗るネットユーザーも、「もし、小日本を汚職官_li_に書き換えれば、わたしは買うよ」と意見を述べた。

深圳の女子アナ・涓子氏は、友人が日本に出張した際のエピソードを次のように明かした。その友人がある小さな居酒屋で食事をしたところ、友人が中国人であることが分かり、店側が、出来上がった料理にマヨネーズで「中国、謝謝」を書き込み、来日への感謝と日中平和友好をあらわした、という。そして、涓子氏はミニブログ微薄に「愛国とは、必ずしも外国を排斥し恨むことによって表さなければならないのか?」と書き込み疑問をあらわした。

しかし、彼女のこの文言は、一部のネットユーザーから罵倒と脅しを招き、やむをえず前記の発言を自ら削除した。そして、涓子氏は「ある真実を微薄に書き込みしただけで、これほど多くの物議をもたらすとは思わなかった」と違和感を述べた。

涓子氏のケースに関し、ネットユーザー「霖畔小筑」は、「彼女は、私の本音を言ってくれた。どの民族もそうであるが、罵るしかなく、売国奴などとレッテルを張るとなれば、この種の愛国はより恐ろしいものだ」とコメントした。

今回の反日デモでは、罵倒、人身攻撃、暴力、破壊、放火、略奪など文化大革命時代の悪習がことごとく復活し、かつ瞬時に中国全土に蔓延した。むろん、文化大革命を通じて、伝統文化や伝統的価値観を破壊し、党文化を注ぎ込んだ独裁政権がその被害者の第一人となりつつあるのではあるが。

むろん、このような異端者は、中国国民の全体を代表するものではなく、ただ中国共産党の党文化に完全に洗脳されたに者に過ぎない。また、このような極端事例は、中国国民全体の日本観を代表できるものではない。これらは、確実である。

たとえば、新聞やネットなどのメディアで、日本に対し開戦すべきとの声が高まる中、ある調査機関がネットで「もし日本との間で戦争が起きれば、あなたは戦場に赴くか」というアンケート調査を実施した。その結果、調査を受けた若者の中で、95%の人は戦場には行かないと回答した。

「累卵の危機」に陥った今、中国の独裁政権は、あらゆる手法を駆使し、国民をごまかしつつ随時噴出しそうな国民マグマを「反日」や「愛国」へと転化させざるを得ないのであろう。

(翻訳編集・呈工)