中国の胡錦濤国家主席はAPECにおいて、「現在、中国経済のその発展プロセスにおける不均衡、不調和かつ持続不可能な矛盾と課題が依然として突出。中国経済成長の下振れ圧力が明らかに存在している」と発言した。(AFP/GettyImages)
【大紀元日本9月17日】9月8日、ロシアのウラジオストクで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席した中国の胡錦濤国家主席が重要演説を行い、中国経済について現在直面している課題が依然として突出。経済成長の下振れ圧力は明らかだとの認識を示した。
胡錦濤氏は演説において、「現在、中国経済のその発展プロセスにおける不均衡、不調和かつ持続不可能な矛盾と課題が依然として突出している」とし、「中国経済成長の下振れ圧力が明らかに存在している。一部の中小企業の経営が困難になっており、輸出業が直面している困難も増えている。また新規大卒者の雇用問題を解決するのも非常に骨の折れる任務だ」と中国経済の厳しい現状を認めた。
9月8日付ブルームバーグは胡氏の発言に関して、「中国共産党政権は現在、10年に1度の指導者交代が平穏に行われるよう努めている。しかし、経済成長の失速は胡錦濤氏への圧力を増大させている」と評し、「欧州債務危機および米国景気回復の勢いの遅さは引き続き中国輸出業の回復を妨げていくだろう。一方、大幅な収益減少で中国国内の多くの企業が支出を減らす傾向に転じると同時に、銀行は債務の増加に直面しなければならない」との認識を示した。
また8日付AFP通信は、シンクタンクの太平洋経済協力会議(Pacific Economic Cooperation Council、PECC)がこのほど発表した最新調査報告において、欧州債務危機問題への不安よりも、現在の中国経済成長の鈍化への懸念の方がより強いと示したことを報じた。
中国政府当局がこのほど公表した8月の主要経済指標から、中国経済が一段と鈍化していることが示された。国家統計局と中国物流購買連合会が9月1日に発表した8月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.2となり、9カ月ぶりに景況の改善と悪化を判断する節目となる50を割り込んだ。また、国家統計局が9日発表した8月の工業生産は前年同月比8.9%増で、過去3年間で最も低い伸び率になった。中国税関総署が10日に発表した貿易統計によると、内需低迷が主因で8月の輸入額は前年同月比2.6%減で、7カ月ぶりのマイナスとなった。8月の輸出額は同2.7%増だが、2011年のような2ケタ増にはならなかった。一方、8月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比での上昇率は7月の1.8%を上回り、2.0%とインフレ圧力が高まっていることが分かった。
8月の中国主要経済指標の公表を受け、海外の多くの金融大手が相次いで第3四半期(7~9月期)および2012年と2013年通期の中国国内総生産(GDP)成長率予測を引き下げた。
英銀行大手のバークレイズはこのほど、2012年中国GDP成長率について前回予想の7.9%から7.5%、2013年は前回予想の8.4%からに7.6%とそれぞれ下方修正した。
米金融大手のゴールドマン・サックスは6日、2012年中国GDP成長率を前回予測の7.9%から7.6%に、2013年同8.5%から8%に下方修正したと発表した。また、今年第3四半期のGDP成長率は中国政府が設定した目標である7.5%を下回り7.4%になると予測している。
スイス金融大手のUBSは7日、2012年中国GDP成長率を前回予測の8%から7.5%に、2013年同8.3%から7.8%に下方修正したと発表した。また、今年第3四半期と第4四半期の中国GDP成長率についても、前回予測の8%と8.1%から7.3%と7%に下方修正した。
一方、少しでも国内需要を拡大させ、景気を良い方向に向かせたい中国政府は7日、今後4年間に国内各地での鉄道や地下鉄建設、道路拡張建設などを含む55項目のインフラ建設計画を認可した。この新景気刺激対策の投資規模は1兆元(約12兆2000億元)で、国内総生産の2%を占めるという。
この新景気刺激対策とこれまで各地方政府が発表している投資計画を合わせると、今後3~4年間に中国各地で行われる投資の総規模は12兆元(約146兆4000億円)に達する。新たな景気刺激対策は、不動産バブルの再燃、鉄鋼業の生産能力過剰問題の再発、また地方政府の負債の急増を招きかねない。
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