【大紀元日本8月21日】米国ナスダック市場に上場している中国ディスプレー広告会社の分衆伝媒控股(フォーカス・メディア・ホールディング)は13日、同社の江南春会長および米国カーライル・グループなどの5つの投資ファンドが提案した米国株式市場で取引されているすべての同社株を買い戻す計画(株式非公開化)を受けたと発表した。買収総額は35億ドル規模になるとみられ、米株式市場に上場する中国企業対象としては過去最大だ。また、買収が成立すれば、ナスダックでの同社の上場は廃止となり、米株式市場から撤退する。
8月15日付中国国内騰訊網によると、上海に本社を置く分衆伝媒のスポークスマンは同買収案について、米国株式市況における同社の市場価値が極めて過小評価されており、株式非公開化は同社の長期戦略の発展を促進することができると述べた。
主にエレベーター内の液晶モニターに広告を配信する事業を展開する分衆伝媒は2003年に上海で設立され、2005年にナスダック市場に上場を果たした。昨年11月、米国調査会社マディー・ウォーターズ・リサーチは同社が広告用液晶モニター設置台数の水増しや、過去の企業買収・合併(M&A)に関する会計報告に事実と違うところがあると指摘した。これを受け、10月に1株当たり22~27ドルを推移していた同社の株価は11月下旬には一時1株当たり18ドル台を割り込むまで急落した。
2000年、中国ネット検索大手の新浪網が中国企業として初めて米国株式市場に上場を果たしてから、国内IT企業を主とする200社余りが米株式市場に上場した。しかし、昨年からの中国企業の株価低迷に伴い、相次いで米国での上場を廃止し、株式非公開化に転じている。8月15日付「深セン特区報」によると、昨年8月から約23社の中国企業が米株式市場から撤退した。ブルームバーグも7月、中国国家開発銀行が、中国中小企業が米株式市場からの撤退を支援するために約10億ドルを出資していると報じた。
中国企業が相次いで米株式市場から撤退する主因は、米ニューヨーク株式市場に上場していたソフト会社の東南融通やカナダ・トロント株式市場に上場していた造林会社のサイノフォレストなど中国企業の不正会計問題や粉飾決算問題が多く発生しているため、米国投資家からの信頼が薄れ、投資意欲も低下したことで株価が下落し、資金調達環境が悪化したことにある。
また、米国証券取引委員会(SEC)による中国企業への監督管理が一層厳しくなっていることも原因だと言われている。今年、米株式市場への上場を許可されたのは高級ブランド品販売会社の「唯品会」1社だけにとどまった。
一方、2007年末に米国ナスダック市場に上場した中国広告会社ビジュンチャイナ・メディア(華視伝媒)も現在、上場廃止に直面している。国内報道によると、華視伝媒は7月18日、同社の株価が5月31日から7月12日までの30営業日連続して1株当たり1ドルを下回っているため、ナスダック市場から上場廃止の通知を受けたと発表した。上場廃止までの猶予期間は180日。来年1月8日までに、同株価が10営業日連続で1株当たり1ドルを上回れば、ナスダック市場での上場を継続できるという。
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