薄熙来と谷開来 露呈した「臓器狩り」「死体販売」主謀者の顔

2012/08/11
更新: 2012/08/11

重慶市トップを解任された薄熙来氏の妻で、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏を毒殺した容疑で逮捕・起訴された谷開来被告の初公判が9日、安徽省合肥市で開かれた。同被告が起訴事実を認めて即日結審したこの裁判は、政治主導と見られる表面的な審理の成り行きよりも、未だに隠蔽されている核心的な部分は何かという点において、国際社会の注目を集めている。(以下、敬称略)

 英国人殺しは「口封じ」のため

中国国営の新華社通信は、ヘイウッドと薄家との間で経済的理由によるトラブルがあり、さらに被告の息子・薄瓜瓜に危害が及ぶと谷被告が考えたため、昨年11月13日、薄家の使用人・張暁軍と共謀して、重慶市内のホテルでヘイウッドを毒殺したと伝えた。

 日本国内の主要メディアの報道も、現段階では、いずれもこの範囲を出ていない。

 しかし大紀元の得た情報によると、谷開来が主導してヘイウッドを殺害したことは事実であるが、その理由および背景は全く異なっている。

 この事件の核心は、谷開来が主謀者として関わってきた、生きた法輪功学習者から臓器を奪い取って殺す「臓器狩り」、および、そうして得た死体や臓器を海外へ不法に売り出す「死体販売」にヘイウッドが助力してきたため、秘密を知っている者の存在を危ぶんだ谷開来が、真実の露呈を恐れて、「口封じ」のためヘイウッドを殺害したことにある。

 また谷開来は、江沢民派の実行部隊として法輪功迫害を主導してきた夫・薄熙来のスケープゴート(身代わり)ではなく、薄と谷のいずれもが、凄惨な法輪功迫害および「臓器狩り」等の重大犯罪に、直接的に関与してきた張本人であることも、他メディアではほとんど伝えられていない。

 米法廷に提訴された薄熙来

では、その「臓器狩り」「死体販売」は、どのような背景のもとに行われたか。

 2004年4月22日、当時、中国商務部(省)部長だった薄熙来が米ワシントンDCを訪問した際、米国在住の法輪功学習者により「拷問罪・集団虐殺罪・反人類罪」の罪状で、米国コロンビア特区の法廷に提訴された。

 その訴状と関係書類が同日夕刻、ワシントンDC中心部のホテルに滞在していた薄熙来のもとへ届けられた。薄は、自分が米国の法廷に提訴されたことを知り、訴状を地面に叩きつけたが、すでに訴状は受理され有効なものとなっていた。

 その5年前の1999年。法輪功への迫害が始まったこの年、中国遼寧省の大連市に、ある工場がひそかに作られていた。本物の人間の死体に特殊な樹脂加工を施し、スポーツをするなど、さまざまなポーズをとらせたリアルな人体標本を製作する工場である。同工場の設立者および所有者は、ネオ・ナチズムを信奉しているという解剖学者グンター・フォン・ハーゲンス。工場名は「ハーゲンス生物プラスティネーション公司(Von Hagens Dalian Plastination Ltd)」といい、建設には1500万ドルが投資されたという。

 かつてハーゲンス自身が、なぜ大連を選んで同工場を建てたのかについて、内外の記者に向けて自慢気に語ったことがある。

 「理由は簡単だ。政府が私の工場を支持しているので、政策面でも優遇してくれる。優秀なスタッフが得られる割に、人件費も安い。その上、標本の材料になる死体が、ここには豊富にあるからだ」

 ハーゲンスはそう述べて、すでに大連の同工場が、死体収集・標本加工・輸送・展示の一貫したグローバル・ネットワークをもつ企業になっていることを示唆した。

 当時、大連市長であった薄熙来は、このような特殊工場が海外からの投資によって作られるにあたり、当然ながら、その利益享受も含めて深く関与する権限をもっていた。

 彼にとって最も「合理的」な方法とは、不当逮捕した大量の法輪功学習者を「臓器狩り」「死体販売」の供給源にすることであった。莫大な額の外貨収入が得られ、法輪功取締りの「実績」も上げられるこの方法は、中央政治局の常務委員入りに野心を燃やす薄熙来にとって悪魔的な魅力があった。

 その恐るべき所業に対する報いの一つが、先述した米国での提訴であった。

 中国、世界最大の「人体標本」輸出国に

新華社傘下の雑誌「瞭望東方週刊」は、2003年に、中国が世界最大の「人体標本」輸出国になったことを伝えている。また同誌は、2002年の年末に香港で行われた人体標本の展示会で、展示されている標本の全てが中国で作られたものであるとともに、「遼寧省大連市が設立」したハーゲンスの工場が、今や世界最大の人体標本の「生産基地」になっていると称している。

中国共産党が三権の上に厳然と存在する中国において、法治はあまりにも不完全であるため、恐るべき罪悪があっても隠蔽されてしまう。

 今年、大紀元が大連から独自に得た情報によると、大連の同工場で生産される人体標本のうち、かなりの数が、虐殺された法輪功学習者であることは間違いないという。

 江沢民が独断で発動した法輪功弾圧は、よく知られているように、何の罪もない善良な人々の「名誉を汚し、経済力を絶ち、肉体を消滅させる」という卑劣極まるものであった。当時、大連市長であった薄熙来は、江の走狗となってその命令を遂行するとともに、谷開来も「夫唱婦随」のごとく黒幕の参与者となったのである。

 「闇のマネージャー」谷開来の所業

その谷開来は、主に何をしたか。彼女の役目は、言わば「闇のマネージャー」であった。

 インターネットを通じて国内外に宣伝し、死体ビジネスの販路を拡大させるとともに、臓器を求める外国人からの費用の徴収なども彼女が管理した。

 また谷と薄は、羅幹や周永康など公安を掌握する中央政法委員会のメンバーに直接働きかけ、超法規的措置によって、拷問などの迫害によって死亡した法輪功学習者の遺体を家族に引き取らせないようにした。「死亡」の知らせを聞いて、遺体を引き取るために家族が駆けつけても、一箱の、誰のものとも分からない遺灰が渡されるだけだった。

 それは公安局や裁判所がその法輪功学習者の遺体を、秘密裏に、しかも高額の値段で、人体標本の加工工場に売れるようにするためである。また、「材料調達」の容易さだけでなく、本来は法律によって厳しく規制される輸出入についても、ホルマリン液に浸けられた人体が比較的簡単に通関できてしまう状況になっていたという。

 こうして作られた中国製の人体標本が、日本を含む世界各国で見世物にされた。

 日本で行われた展示会の主催者は、それらの人体標本について、「本人の生前の意思による献体」であるという、見え透いた嘘をつき通したのである。

 学術的あるいは教育的意義があるという名目で日本各地を巡回展示した人体標本展に対して、あまりにも無知で不明な自治体や教育委員会、新聞社、企業・団体などが、どれほど騙され、「後援」「協賛」などの無責任なお墨付きを与えてしまったか。それらは全て、中国本土で、谷や薄によって行われていた悪魔の所業に加担したことに他ならない。

 大連の「ハーゲンス工場」以来、広州・南京などを含む中国の各地に、少なくとも十数箇所に上る同類の人体標本加工工場ができたという。

 ハーゲンス 標本にしたのは「引き取り手のない遺体」か

ハーゲンスはかつて、米ニューヨークタイムズの記者に、「大連の公安局から(加工工場に)持ってきたのは、みな引き取り手のない遺体だ」と語っている。

 しかし、2006年3月9日、ある証言者(女性)が大紀元に語ったところによると、2001年から2005年までの間に、遼寧省瀋陽の郊外にある蘇家屯に秘密施設があり、6千人以上の法輪功学習者が強制収容されていた。彼女の前夫は医者であったが、その蘇家屯で生きた法輪功学習者から角膜や臓器を摘出する「臓器狩り」に携わっていた。臓器を奪われて殺された法輪功学習者の遺体は、そのまますぐに焼却される場合もあったが、標本加工工場へ売られていくものもあったと証言している。

 また近年では、国連の人権組織、国際人権機構等の調査、および「明慧ネット」でも伝えられているが、1999年7月20日より、江沢民の発動による法輪功への大弾圧が始まってから、数十万人あるいはそれ以上の法輪功学習者が不当に逮捕・拘束され、労働教養所(思想改造施設の一種)などへ入れられた。

 それらの施設では、凄まじい拷問・虐待を受けるとともに、家族が連絡を取ろうとしても全く音沙汰がない「行方不明」状態になる場合も少なくない。

 2011年9月9日の「明慧ネット」によると、広州市在住の法輪功学習者・郝潤娟さん(女性)は、広州白雲看守所の警察に不当逮捕された。22日間にわたって残酷な拷問を受けた郝さんは死亡。しかも、家族には全く知らされないうちに、「死体は解剖された」と告げられた。法律上、解剖には家族の同意のサインが必要である。

 遺体と対面した家族は衝撃を受けた。郝さんの内臓は、全て抜き取られて空洞になっていた上、皮膚もはがされ、眼球もくり抜かれていた。家族が目にしたのは、ひと山の遺骨と、肉と、真っ赤な鮮血の跡だけだった。

 その一方、法輪功への迫害開始以来、中国での臓器移植数は爆発的に増えている。統計によれば、そのうちの少なくとも4万件、多くは9万件に相当する臓器が、出所不明のものであることが判明した。

 蘇家屯の秘密施設の存在が暴露されてから、中国には、少なくとも36箇所の、同様な大規模収容所があり、法輪功学習者を抹殺するため、想像を絶するような拷問・虐待・洗脳が行われている。

 また、遼寧省だけでも5つのサイトが臓器移植に関係した宣伝を行っている。あるサイトによると、角膜が3000ドル、心臓が18万ドル等の標準価格がついており、最大のサイトは遼寧省の瀋陽にあるという。

 それらの全てに、薄熙来、谷開来が直接関与し、運営していた可能性は高い。
 

(翻訳編集・牧)
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