【大紀元日本7月17日】「中国共産党は“進歩的かつ無私で団結する”執政集団である」―先日、香港の小中学校に配布したばかりの教科書にこんな記述があった。かねてから政府が推進している国民教育計画に洗脳されると危惧している香港市民が反発している。香港当局は教科書の一部内容が適切でないと認めながらも、回収しない方針だという。
教科書には、「中国政府は能力の有無で幹部を選抜している」、「米国の民主制度は政党闘争、人民の生活に災いをもたらす制度である」などと中国を賞賛し、西側諸国を批判する文言も見受けられる。
有毒粉ミルク事件や温州高速鉄道事故などを含む反省すべき事件についての記述は1、2ページにとどまっている。
「中国モデル-国情教育ハンドブック」を題とする同教科書の出版者は、政府の資金援助で作られた国民教育サービスセンターで、編集者は香港浸会大学当代中国研究所である。2つの機構の責任者はいずれも北京の全国人大代表に選出されている。
有識者らは「この教科書は様々な角度からひとつの問題を見るという香港市民の思考様式に合っていない」と一蹴した。
疑問視されるこの教科書について、香港の呉倹克教育局長は、問題を認めてはいるものの、学校使用に不適切とは答えていない。
呉局長はさらに、学校と教師はこの教科書を選択をする権利があると述べた。これについて、教員労組の香港教育専業人員協会の陳国権理事は、香港の大部分の小中学校は政府からの援助を受けているため、使用しないという選択は非常に難しいと述べている。
香港政府は中国の国情を賛美する教科書の出版費を援助するほか、香港の小中学生が本土で行われている国情研修交流団活動に参加するための資金も提供している。活動に参加した学生によると、政府側は政権の功績や人徳を称賛し、国情についてのすべての方面を学生たちに説明することはなかったという。
中国当局に対し、あらゆる手法で若者たちを洗脳すべきではないとの批判も出ている。
昨年5月、香港政府は「国民教育」と「道徳」の授業を小中学校で必修にすることを決定、今年から実施されることになっていた。しかし、「洗脳」だと反対する声が高まったため、必修化は3年間の延期となった。
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