中国企業による海外投資 8年間で約千億元損失

2012/07/06
更新: 2012/07/06

【大紀元日本7月6日】近年、中国国営大手企業による対外直接投資が急増している。同時に、これら企業による巨額な損失問題も表面化している。国営資源大手中国五鉱集団の社長で、中国国際多国籍企業促進会の周中枢・副会長は6月22日、北京で開催された会議において、2011年度中、海外でビジネス展開する中国企業の収益がマイナス268億ドル(約1688億4000万元)に達したと明らかにした。6月23日付「中国経済網」が伝えた。

周副会長は「2004年~2011年の8年間において、海外に進出した中国企業の純収益は6年マイナス状態が続いた。これは海外への投資リスクが極めて大きく、今後の海外投資に関し、より慎重に意思決定をしなければならないことを意味している」と述べた。周副会長によると、2011年末時点での中国企業の海外における純資産総額は1兆7700億ドル(約11兆1510億元)に達している一方、2011年の単年度だけで海外投資純益がマイナス268億ドルに達したという。

また周副会長は「国営大手企業は近年相次ぎ、海外で知名度の高い企業を買収して先端技術を入手、そして多くは企業買収を通じて短期的に会社の経営規模を拡大し、ビジネスも成功できると望んできた。しかし、技術のみに頼り、企業ガバナンスに関して完全な組織体制がなければ、そして、その技術を継続的に研究・開発していく力がなければ、企業実力に欠け、結局のところ成功することができない。多くの企業は、中国国内においても経営能力に欠けている。にもかかわらず、国際市場に進出すれば、更に競争できなくなる」と厳しく指摘した。

中国企業による海外投資の損失額が8年間で約千億元に

一方、中国国際問題研究所特別招聘研究員で、元中国駐イラン、駐オランダ大使の華黎明氏は今年2月に開催された「2012外交官経済フォーラム」において、2004年以降、14の中国企業が海外で巨額損失を被ったとし、「この14の投資プロジェクトで総額950億5000万元の損失が出た」と述べた。華氏はまた、この950億元余りの損失は把握できたわずかな一部であり、まだ多くの損失が把握できていないと強調した。華氏は、「過去2年間半の間、中国の対外直接投資は6000億元に達した。しかし将来5~10年以内に、このうちの半分である3000億元の資金が損失として消えてしまうだろう」と述べた。

華氏は海外に進出する中国企業が失敗する理由として、国際化経営能力および国際社会に適合する経営人材の不足、海外各国の法律および経営環境に関する知識の不足、投資先国(例えば、リビアやスーダン)の政治的リスクや社会的リスクなどを挙げた。

さらに華氏は、「海外に進出する企業の多くは共産党政権中央政府が直接管轄する国営大手かつ寡占的企業で、政府からの優遇もあり、国内において優位的経営環境にあるため、特有な企業文化を形成している。しかし、海外進出時にこの特有な企業文化が往々にして失敗する原因となる」と指摘し、「海外で成功したければ、長期的に非市場経済環境で形成された良くない部分を意識的に排除しなければならない」と強調した。

米国に本社を置くコンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニー社が昨年9月に発表した調査報告書によると、過去20年間における、中国企業、特に大国営企業による海外企業の買収・合併(M&A)の失敗率は67%に達しており、国際平均水準である50%を大幅に上回っている。

在米の中国問題専門家伍凡氏は、「中国国営企業の企業経営や運営に関する考え方は欧米社会の文化に全く適合できていない。国内においても顧客を獲得するために製品のクォリティの向上、サービスの向上、技術の革新を図るのではなく、政治的な優勢に頼り寡占的な地位で利益を上げてきた。中国企業は国際社会の企業経営思想への研究が乏しく、したがって海外に進出しても競争力が全く付かない」と批判した。

(翻訳編集・張哲)
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