国民の将来収入信頼感指数が13年ぶり最低水準に

2012/06/25
更新: 2012/06/25

【大紀元日本6月25日】中国人民銀行(中央銀行)が19日に発表した『2012年第2四半期預金者調査報告書』によると、約65.7%の回答者が現在の物価水準について「高くて受け入れ難い」と答えたほか、国民が将来の所得に関する予測を示す「将来収入信頼感指数」は53.2%にとどまり、1999年同調査が始まり以来、13年ぶりに最も低い数値となった。

同調査は中国50都市、2万世帯を対象に行われた。

65.7%の国民は物価水準が「高くて受け入れ難い」

人民銀行の同調査によると、調査回答者のうち、65.7%の人が第2四半期(4~6月期)の物価が「高くて、受け入れ難い」と示した。これは前期(第1四半期、1~3月期)に行った調査と比べて2.8ポイント上昇した。

また、第3四半期(7~9月期)の物価水準について、35.6%の人が「上昇するだろう」と予測する。前期の調査より4.2ポイント上昇した。

中国政府が公表する消費者物価指数(CPI)の上昇率が3月に3.6%、4月に3.4%、5月に3%と縮小しているにも関わらず、多くの国民は依然に政府公表の統計に不信感があり、将来インフレ圧力の強まり、また生活への影響を不安に感じているようだ。

また、第2四半期の住宅価格について、68.5%の回答者は「高くて、受け入れ難い」と示し、前期より0.8ポイント上昇。一方、第3四半期の住宅価格について20.4%の回答者が「上昇する」と予測した。

将来の収入に対する信頼感は1999年以来最低水準に

一方、同調査によると、調査回答者が収入に対する満足度指数は前期から1.8ポイント低下して、50.1%となった。また将来の収入に対するマインドを示す「将来収入信頼感指数」は前期の調査から1.7%下落して、53.2%にとどまり、1999年に同調査が始まる以来最も低い水準となった。国民の多くが将来収入に対して悲観的であることを反映した。

国民が将来収入への不安は投資や消費意欲を低下させ、これは内需主導型経済成長への転換を目指す中国政府にとっては大きな壁となる。中国当局は2010年3月に開催された全国人民代表大会(全人代、議会にあたる)において、第12次5カ年計画(2011年~2015年)に関して、温家宝首相は労働者の所得平均伸び率を前5カ年計画の5%から15%にすると、いわゆる所得倍増計画を検討すると述べた。しかし、実際には2011年に発表された第12次5カ年計画の内容をみると、労働者の所得年平均伸び率は前回の5%から7%へと引き下げただけだ。

また近年の物価の急騰、特に食品価格の急上昇は国民の実質購買力を低下させ、収入が増えたとの実感が湧かない。5月のCPI指数の内訳をみると、食品価格の伸び率は前月比で6.4%となり、食品のうち、野菜や果物価格は前月比で31.2%上昇したという。

国内紙「南方都市報」は6月20日付の社説において、安定した経済成長を持続していくには、国民の消費意欲と同時に実質購買力を高めなければならなく、そのため大幅な減税措置が必要だと指摘した。同紙は、中国の税収総額のうち約7割が売上高税で、また一部の商品の売上高税の税率が50%以上に達しており、税率が非常に高いため、企業には大きな負担になっただけではなく、最終的に消費者に転嫁されているとしている。

 (翻訳編集・張哲)