中国「一人っ子政策」の罪過  堕胎で殺された嬰児「3億人超」

2012/06/19
更新: 2012/06/19

「2010年中国衛生統計年鑑」より、「計画生育手術の状況」と題されたページ(ネット写真、クリックで拡大)

【大紀元日本6月19日】1979年に始まった中国の計画生育政策、いわゆる「一人っ子政策」。中国の人口抑制に「一定の効果を上げた」ともされているが、その陰には、第2子を妊娠した女性が罰金を払えない場合、強制的に堕胎させるなど、きわめて残酷で非人道的な実態が恒常的に存在してきた。中国衛生部「2010年中国衛生統計年鑑」の統計によると、1971年から2009年までに実施された人工流産(堕胎)は3億例を超えると見られる。

 現在でも、毎年700万例の堕胎

 同年鑑の当該ページ「計画生育手術の状況」には、1971年から2009年までに実施された精管結扎、卵管結扎、人口流産などの統計が記されている。中国の公的機関によるこの数値からも、生命を宿しながら堕胎を余儀なくされた実例が3億例を超えるという、驚愕の事実が浮かび上がった。

 なかでも、妊婦とその夫の意志に反して、強制的もしくは暴力的に堕胎させられた事例は少なくないと見られている。最近でも、妊娠7カ月になる陝西省の女性が強制堕胎させられ、術後の女性と死亡した胎児がベッドに並んで映っている衝撃的な写真がネット上に公開されて、内外からの非難をあびた。

 このような実態に関して、中国問題および人口問題研究の専門家・劉忠良氏は、マイクロブログ・微博で次のように述べる。

 「この30年来、当局に強制破壊された家屋は4000万軒、没収されて食肉用に屠殺された耕作牛だって3000万頭だ。ところが、強制的に卵巣摘出手術を施された女性は、なんと2億人近くいる。しかもそのうち、1億人の女性が後遺症に苦しみ、2000万人は未婚の女性なのだ」

 劉氏によれば、1983年における人工流産による死亡嬰児数は1437万人であったが、最近でも、年間700万例ほどの人工流産が実施されているという。

 嬰児の死体に群がる「寄生虫」部門

 このような世界でも類を見ない人権無視、生命軽視の背景として、「一人っ子政策」を推進する計画生育部門が、中国の公的機関でありながら、恐るべき「寄生虫」部門へと変異している実態がある。

 この「特殊部門」に従事する職員は、50万人以上という。彼らは、正規の給料が国から支給される以外に、それ以上の利益を、彼らが「職務上」あつかう母体と胎児から吸血鬼のように吸い取っている。その総額は200億元(2500億円)に上ると見られる。

 第2子を妊娠した場合、それを「違反」として高額の罰金が科せられる。払えなければ堕胎を強要されるため、妊娠した女性とその家族は、なんとか金を工面して当局の要求に従う場合も少なくない。これらの罰金は、その部門の、各地方における「直接収入」になっている。

 また同部門に所属する者とって、国策である「一人っ子政策」で各員・各単位(職場)がその方針に沿った政治的成績を上げることは、人権尊重や法律遵守にも優先される、一種のノルマになっている。

 強制堕胎によって嬰児の生命を奪うことも「成績」の一部となるため、彼らには罪悪感はない。この「成績」が、個人の昇進や、職場の評価に大きく影響するのである。

 中国政法大学の講師で法律家の滕彪氏は、この計画生育政策によって多くの胎児の命が奪われている問題の根本的原因について、「(中国では)政治が法律より高位にあり、政治運動が法律に勝り、官員の成績が法律に優先されることにある」と述べる。

 滕氏はさらに、「子供を殺害する民族に未来はない」と、この国策とそれがもたらした現状に対して、強く非難した。

  (翻訳編集・牧)