【大紀元日本11月30日】ユーロ圏支援の一助となる欧州債の買い付けに消極的だった中国はここにきて、欧州の実物資産への投資意欲を示しはじめた。
28日、陳徳銘商務相は記者会見で、海外投資の機会を求める国内企業に対して、商務部(省)は来年、欧州に通商・投資使節団を派遣する計画だと述べた。「欧州の一部の国は債務危機に直面している。彼らは資産の現金化を望んでおり、外資による合併・買収(M&A)を期待している」とし、商務部は今後もその動向に注視しながら前進させると語った。
同じ頃、中国の有力政府系ファンド・中国投資(CIC)の楼継偉会長は英フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、英国をはじめとする欧州のインフラ事業に投資する意向を明らかにした。
4100億ドルの総資産を擁するCICは今後、「他のファンドマネージャーと提携するか、官と民がパートナーを組むPPP方式への参加により、株式投資家として英インフラ事業に参入することを強く望む」と楼会長は表明。また、中国企業と投資家の参入は、「建設」にとどまらず、インフラ設備の「所有」と「運営」にも当たりたいと言明した。
こういった動きについて、ピーターソン国際経済研究所(ワシントン)のコーク・ガード研究員は米VOAの取材に、欧州に向ける投資は中国が外貨準備の多元化をはかる措置だと指摘。中国の投資家は欧州の金融危機を利用して、今までメインとしたドル建て資産を他の通貨建て資産へと分散を加速させているという。
さらに、インフラへの投資は政府を巻き込むことが多いため、中国はこれらの取引きを通して政治的な優勢をにぎる可能性があるとガード氏は指摘する。また、この種の投資は政治的な影響を受けやすいが、欧州全体のチャイナマネーへの抵抗は米国のそれより遥かに低いことにも言及した。
一方、シティバンクのチーフ・アナリストの瀋明高氏は、CICの投資表明は政府の意向よりも、自身の利益を考慮したものだと分析。インフラ投資はCICにとって、より安定した利益をもたらすと同時に、米国債や欧州債への投資リスクを低減させることもできる。中国の一般的な見方では、外貨準備を米国債や欧州債に振り向けるよりも、実物資産の保有に向けて動かすべきだという。
なお、一部のアナリストは欧州資産の価値は今後も大きく変化する可能性があるため、今は純粋な商業投資を行うタイミングではないと見ている。
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