【大紀元日本10月24日】 不動産バブルを抑制するため、今年2月、北京市は不動産限購令を実施し、8月には、市の発展改革委員会が、住宅物件の取引手数料の引き下げを通達した。2重苦に強いられる不動産仲介業者700余社が、営業停止し閉店するという事態に追い込まれた。
北京市政府の公式サイトによると、2月16日、北京市は不動産取引調整に関する細則(調整15条細則)を発表し、実行に移した。細則によると、すでに1戸の不動産を保有している北京市戸籍居住者に対し、新たな不動産物件の購入は1戸と制限されている。すでに2戸の不動産を保有している北京市戸籍の居住者および1戸以上の不動産を保有する非北京市戸籍居住者に対して、不動産物件の新規購入が禁止される事態となった。
細則の実施以来、北京市の不動産取引は低迷する一方だ。8月末、北京市発展改革委員会は、さらに住宅物件の取引手数料の引き下げを通知した。引き下げ率は現基準手数料から0.5%の引き下げとしているが、業界内部の予測では、この0.5%の手数料の引き下げは、不動産取引の仲介業者にとって営業収入の2割減に及ぶという。
北京鏈家不動産の調査によると、上記の限購令と取引手数料調整細則の実施により、北京市で営業している不動産仲介業者数は、限購令の実施当初の2月には6029社あったが、9月末までに700社余が減少し、5310社となった。減少率は12%近くに上る。
限購令が実施された当初、北京市で最大規模を誇る不動産業者・鑫尊不動産の劉軍社長は新華ネットの取材に対し、限購令の実施により、北京市の中古物件の取引量は30%縮小すると予測した。同社は北京市内で300前後の店舗を構えているが、10~20%の業績不振店を順次に閉鎖していくとコメントした。
実情は劉社長の予測よりも厳しくなっている。北京市不動産取引管理ネットのデータによると、9月の北京市の中古物件取引件数は8750件で、前年同期の1万6545件より47.1%下降している。好調期の2009年9月の2万6412件からは、7割近く下落している。さらに10月の連休中に成約した中古物件取引件数は131件で、前年同期比の22.8%下落を記録している。
また、今年1~9月の期間、北京市の中古物件総取引金額が約1800億元に落ち込んだ。昨年同期は2800億元であった。現在、鑫尊不動産の北京市にある店舗は127店までに縮小し、2月当時の300店に比べ、半分以下に減少している。
香港で大手不動産代理業を展開する中原グループ傘下にある中原不動産はこのほど、北京市内にある店舗を40店以上閉店。同不動産が手掛けている物件は富裕層をターゲットにしているため、上記の限購令の実施により、不動産投資や投機的購入が大きく制限されることとなり、利潤は前年比9割近くの急減となった。不動産価格の高騰で、都市部の若年層やこれまで政治に無関心だった中間層はもちろん、一部の富裕層の間にも不満が高まりそうだ。
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