【大紀元日本7月20日】中国政府系メディアによると、新疆ウィグル自治区のホータン(和田)市で、現地時間7月18日正午12時頃、ウイグル人グループが現地の派出所を襲撃する事件が発生した。警官が襲撃犯を射殺して制圧したが、その間、警官、人質ら4人、襲撃犯の14人が死亡したと報じられている。一方、ドイツのウイグル人権団体は、政府メディアの報道が情報を操作していると主張。同日に発生したウイグル人による非暴力的な抗議への弾圧が、襲撃事件発生の引き金であると指摘した。
中国国営新華社は、派出所を襲撃したウイグル人を暴徒と名づけて、人質を取って放火したなどと報じた。それによると、駆けつけた武装警官が抵抗する襲撃犯を射殺した。その間、警官と人質ら4人が死亡、6人の人質が解放された。襲撃犯の身元とその動機、射殺された襲撃犯の人数、現地の今の状況についての説明はない。
共産党機関紙・人民日報の関連報道によると、射殺された襲撃犯は14人、負傷者は1人と報じたが、後にこの部分の内容が削除された。
また、中国政府の国家反テロ対策チームが襲撃事件後、現地入りしたことも伝えられている。
ドイツのミュンヘンに拠点を置く、世界各国のウイグル人組織を統括する上部機関「世界ウイグル会議」のスポークスマンのディリシャット氏は英BBC(中国語版)の取材で、中国政府系メディアは政府に有利な情報を一方的に流していると非難し、同日に行われたウイグル人の平和的抗議に対する弾圧が、襲撃事件の誘因であると主張し、状況について詳しく説明した。
ディリシャット氏によると、2年前に武力弾圧されたウィグル人大規模抗議事件「7.5事件」以来、現地では大勢のウイグル人の若者が行方不明になったり、現地政府に逮捕され、状況がわからなくなったりしている。同市在住の一部のウイグル人たちは同18日に抗議活動を計画し、政府に対してこれらの所在不明のウイグル人の情報開示などを求める予定だった。
「また、大量の漢民族が移住してきており、土地や資源を占有しているため、ウイグル人の生存環境がますます厳しくなっている。現地のウイグル人たちはこの事実も政府に抗議する予定だった」という。
同氏の話では、18日の抗議は警察に弾圧され、1人の抗議者は銃撃されて重傷を負い、13人はその場で逮捕された。「平和的抗議への暴力行為による弾圧。抗議者に銃を発射して、けが人を出したから、今回の派出所襲撃事件が発生した」と同氏は主張している。
ディリシャット氏はまた、「抗議活動が弾圧されてから衝突に変わるような事件において、安易に抗議者に暴徒あるいはテロリストなどの罪を着せないで欲しい」と中国政府をけん制した。
現地のある住民は本紙の電話取材に対して、派出所に突入したウイグル人の多くは警察に射殺された。死者数は分からないと語った。
「現地では厳しい戒厳体制が敷かれており、警察当局は住民の自宅を一軒一軒捜査している」とディリシャット氏はBBCに証言した。