【大紀元日本6月23日】ベトナムなどと対立が激化する南シナ海領有権問題をめぐって、人民日報傘下の環球時報は6月21日の社説で、「ベトナムの挑発が続けば、海軍の力で痛撃を与える」と初めて軍事行動も辞さない強硬姿勢を見せた。これまでにない厳しい姿勢について、米専門家は暴動頻発で執政危機に晒されている中国政府が国民の民族感情を利用し、難局を乗り切るために世論を誘導していると見ている。
中国系香港紙・文匯報もこのほど、「ベトナムとフィリピンは再三挑発してきている。必要な軍事行動を起こす用意ができている」との社説を掲載した。文匯報は政府が公開しない情報を伝えるルートだと見なされている。
環球時報(英語版)は20日、南シナ海の領有権問題について同紙が行ったインターネット世論調査で、中国の「軍事行動」が最も妥当な紛争解決方法だとする回答が82・9%に達したと報じ、国民の支持を取り付けたとアピールした。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所の上級研究員ボニー・グレイザー氏はインフレや暴動の頻発など様々な国内問題に直面している中国政府にとって、国民の注意力を南シナ海へ向かわせることは良い解決方法かもしれないと見ている。
さらに、2012年に中国政府指導部が刷新される重要な時期に、当局は国民の愛国心を煽ることによって、貧富の格差の拡大、独裁政治への関心をそらすことを狙っていると分析し、「中国政府は非常に不安を感じている。南シナ海の紛争を激化させることによって国民の政府批判をかわそうとしている」と、米VOAの取材に述べた。
中国国内では、これまで農村で多発していた暴動が都市部でも繰り広げられ、政府庁舎を攻撃するなど過激な行動が相次いだ。1万人に上る大きな暴動も珍しくなく、国民の不満は高まりを見せている。
一方、中国系香港紙・香港商報(Hong Kong Commercial Daily)は21日、複数の中国軍関係者の話として、旧ソ連の空母を改造した中国初の空母の海上公試運転が7月1日に行われると伝えた。最近の南シナ海での緊張の高まりを受けて日程が前倒しになり、中国海軍の力を誇示する狙いがあると見られている。
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