【大紀元日本6月15日】中国当局と北朝鮮は9日、両国の国境地域での経済貿易協力プロジェクトを発足した。
中朝羅先・経済貿易区、黄金坪・威化島経済区に適用されるプロジェクトで、双方の協力項目が掲げられている。「政府による指導、企業が中心、市場運営、互利互恵」の原則に則って、2つの経済区を両国の経済・貿易協力のモデルに構築していくというもの。
中国メディアは、発足式に関する簡略な控えめの報道を流したが、協力項目についての具体的な説明はなかったが、北朝鮮側では大々的に報道を取り上げた。中国商務部の陳徳銘・部長と北朝鮮労動党中央行政部の張成澤・部長が、両国の政府代表として発足式に出席した。
英国紙フィナンシャル・タイムズによれぱ、双方の協力項目には、中国から北朝鮮の羅先地区までの道路の再建設、セメント工場の建設、発電施設、羅先地区の港の改造が掲げられている。
米国議会図書館のアジア部門シニア研究員として、北朝鮮経済問題を専門とするディク・ナント氏は、米国VOAの取材に対して、国連の持続的な制裁および韓朝の外交関係の悪化により、北朝鮮は中国からの投資により依存するほかに選択枝がないとの見解を示した。「北朝鮮は、韓国との協力プロジェクト『開城工業経済区』の経験を通して、外国投資者との提携で巨額な利益を得られることを知った。しかし、現在、韓国との関係が再び緊迫しているため、中国に目を向けて協力プロジェクトを発足させるのことは至極当然な選択である」と解説する。
一方、中国にとっても北朝鮮の豊かな天然資源と安価な労働力は魅力だとナント氏は指摘する。さらに、羅先港を手に入れたことで、「東北産の石炭やほかの原材料を、羅先港から海洋を通って上海などに運ぶことができ、これまでの鉄道ルートより遥かにコスト安になる」と分析する。
米VOAによると、金正日・総書記は、昨年の1年間に中国を3度訪問している。今年5月の訪中直後に、北朝鮮は韓国との対話を中断すると発表した。中国当局はそれに対して、北朝鮮のこの決定については事前に通達されることはなかったとしている。
VOAの同報道によれば、米国側は、北朝鮮が獲得した経済援助が核兵器の開発に充てられることを懸念している。米国国務省は、最近声明を発表し、国連常任理事国に対して、北朝鮮への制裁を強固に執行するよう促し、北朝鮮とのビジネス取引には「透明性、かなりの自粛と警戒」を保つよう求めた。