【大紀元日本6月14日】湖北省利川市の汚職取締機関の幹部であった冉建新氏が、警察当局の取調べ中に急死する事件が発生した。これを受けて、現地市民約1500人が市政府ビルの前に集結し、同氏は農民の利益を守って同市の他の幹部と対立したため、罪を被されて殺されたとして抗議活動を行った。当局は大量の武装警官を投入し、情勢を沈静化させた。
国内メディア・南方週末によると、昨年11月、冉建新氏は同市当局による農民の土地への強制収用の案件に反対したことがきっかけで、同市の共産党紀律委員会から逮捕状を出されて、収賄の罪で逮捕されて取調を受けていた。今月4日、冉建新氏は取り調べ中に急死した。同報道は遺体の状況について、「目や鼻、耳、口などから出血。体中に内出血の痕。多くの外傷、および背中には複数の火傷」と報じた。
同紙によると、冉氏の遺族は当時の取調べの状況を収録した監視カメラの映像を提供するよう求めたが、監視カメラが当時壊れていたと告げられた。再三に交渉した結果、遺体の写真撮影がようやく許可されたという。遺族はこれらの写真をインターネット上に公開した。
また、南方都市報によると、遺族は死亡した冉氏の上着ポケットに隠されていた遺書を発見した。獄中のトイレットペーパーに書かれたこの遺書には、取調べ中に受けた数々の虐待・拷問が記録され、さらに、自身が同市の共産党紀律委員会の書記・李偉氏との間で、たびたび仕事をめぐって対立が生じて、同氏が自分を「片付ける」と脅迫していたことも記されていた。
関係者の証言によると、李偉氏は公の場でも、冉建新氏を「痛い目に遭わせる」と公言していたという。
住民の権利を守るために尽力したとして評価が高かった冉氏の変死に、同市の住民は7日から10日にかけて抗議デモを行った。デモ参加者の証言によると、9日早朝、一部の市民が市政府ビルの前に集結し、「幹部の機嫌を損なったため暗殺された」との文言の横断幕を掲げた。同日午前10時を過ぎると、抗議に参加する市民は約1500人に達し、交通は完全に中断した。当局は大量の武装警官を現場に配置させた。
午後になり、武装警官が抗議者を解散させようとした際に、双方が衝突した。警官は電気警棒で殴りつけ、多くのデモ参加者がけがをした。参加者も警官にペットボトルや、卵などを投げつけた。
また現地の市民によると、翌10日の朝から、武装警官を満載した数十台の軍用車両、および数台の戦車とその他の特殊車両が同市に進駐した。
抗議事件発生後、現地政府はオフィシャルサイトで声明を発表、「事態の悪化を防ぐため、公安機関が法律に基いて迅速な措置を講じ、同集団事件を適切に処理した」と述べた。
政府系メディア・環球時報によると、当局はすでに調査チームを結成し、本死亡案件について調査したという。冉氏の取調べに関わった2人の幹部が停職処分となって、引き続き取調べを受けており、検察官一人が辞任。死亡者を痛い目に遭わせると公言していた同市共産党紀律委員会の李偉書記は解任された。
インターネット上では、本案件に関する書き込みが多数寄せられている。その中には、「冉建新氏はいい人でいい幹部だが、今の中国の体制内部は腐りきっているため、いい幹部になるのも難しい」と嘆く人もいた。
AFP通信は、「中国では毎年、数千件の抗議事件とその他の集団事件が発生している。この原因は主に、幹部の腐敗、地方当局の汚職、土地の強制収用などの問題である」と報じた。
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